【天皇賞・春】タイトルホルダー 7馬身差圧逃V 鞍上・横山和は史上初の親子3代天皇賞・春制覇

2022年5月2日 05:00

天皇賞・春を制したタイトルホルダー

 誰もが納得する、力強い菊花賞馬の行進だった。伝統の古馬長距離王決定戦「第165回天皇賞・春」はタイトルホルダーが2着に7馬身差をつける圧勝、逃げ切って2度目のG1制覇を飾った。鞍上の横山和生(29)はJRA・G1初勝利。祖父・富雄、父・典弘に続き、史上初の親子3代天皇賞・春Vとなった。直線半ばでテーオーロイヤルをかわした1番人気ディープボンドが2年連続2着となった。

 誰が見ても分かるほどの圧勝。栄光をつかんだ横山和は天に向かって高々と左手を突き上げた。タイトルホルダーがG1馬となった菊花賞から約半年。再びやって来た仁川で持ち味のスピード&スタミナを生かすレース運びで、またも逃げ切った。まるでVTRを見ているようだったが5馬身差の菊花賞より差を広げ、7馬身差の圧逃Vでゴールへ。12年目で初のビッグタイトルを手にした鞍上は笑顔で喜びを語った。

 「返し馬から雰囲気の良さは感じていた。タイトルホルダーと仲良く走ろうと思っていた。うれしかったです。G1を勝ったことより、タイトルホルダーと勝ててうれしかったです」

 外の16番枠から鞍上に促され、すかさず先手を奪取。テンから仕掛けても、すぐに折り合いがつき、セーフティーリードを保って前半1000メートルは60秒5で通過した。横山和が「タイトルホルダーが自分で分かっている。入れたいタイミングで馬がスッと息を入れてくれた」と振り返るように、そこから先の1000メートルは1分2秒1と少しペースダウン。終盤でまたペースアップする得意なパターンに持ち込んだ。あとは後続を突き放すだけ。「しっかり反応もあったし、大丈夫かな」と鞍上が確信した直線は、3000メートル以上を走ってきたとは思えない力強さで伸び続けた。

 喜びに浸ったのは好騎乗を見せた横山和だけじゃなかった。直線、他馬を突き放しにかかる最中、府中の検量室では跳びはね、叫ぶ弟・武史(23)の姿があった。「好きなように乗ってこい」と背中を押して息子を送り出した父・典弘は阪神で固唾(かたず)を飲んでレースを見守った。勝利を見届けると管理する栗田師の元へ。「自分が乗っているより緊張したし、涙も出てきた。本当にありがとうございます」と声をかけ、2人でがっちり抱き合った。その後も関係者にあいさつ回り。タイトルホルダーをなでてねぎらい、父は終始、笑みが絶えなかった。くしくも父がイングランディーレで逃げ切った04年も7馬身差だ。元騎手の祖父・富雄さん、父に続き、史上初となる親子3代での天皇賞・春制覇。横山和は「なかなかできることではないので、結果を出せて良かったと思います。今日の夜は寝られないのかな」とうれしそうに語った。

 武史は昨年G15勝とブレーク。昨年キャリアハイの79勝をマークした兄は焦ることなく少しずつ歩を進めてきた。新たなG1ジョッキーとして名を連ね、これからもぶれずに真っすぐ、ひたむきに競馬と向き合っていく。

 ◆タイトルホルダー 父ドゥラメンテ、母メーヴェ(母の父モティヴェーター)18年2月10日生まれ 牡4歳 美浦・栗田厩舎所属 馬主・山田弘氏 生産者・北海道新ひだか町の岡田スタツド 戦績11戦5勝(重賞4勝目) 総獲得賞金5億8933万1000円。馬名の由来は選手権保持者(父、母父、2代母父がダービー馬だから)。

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