【NHKマイルC】ダノンスコーピオン ひと差し戴冠!18頭立て18番枠から初制覇
2022年5月9日 05:15 ハッピー・カナロアデー!3歳マイル王決定戦「第27回NHKマイルC」が8日、東京競馬場で行われ、ロードカナロア産駒の4番人気ダノンスコーピオンが優勝。父も管理した安田隆行調教師(69)にG1タイトルをプレゼントした。また同日行われた新潟大賞典も同産駒同厩舎の7番人気レッドガランが勝利。まさに「安田隆カナロアの日」となった。
これほど親孝行な息子がいるだろうか。ロードカナロア産駒レッドガランが新潟大賞典を制したわずか20分後、G1初タイトルを手にした同産駒ダノンスコーピオンの顔を、安田隆師が誇らしげになでた。自身が手がけたカナロアからの二つのプレゼント。師は「このお父さんの子でまたG1を勝てたのが本当にうれしい。最高の気分ですね」と表情を緩めた。
18番枠からのレース。中団外を追走し、無理のない範囲で少しずつポジションを上げた。4コーナーを抜群の手応えで回ると、直線は川田が広いスペースにエスコート。瞬時に加速して内の先行勢をのみ込むと、最後は外から伸びるマテンロウオリオンとの勝負。ゴール直前、視線を外にやった川田が首差しのいでの勝利を確信した。川田は「枠は仕方がないので、外からどう勝たせるかを考えた。リズムを大切にしながら流れの中で競馬をした。最後の1Fはどうにかしのいでくれと思いました」と納得の表情。同レースが18頭立てとなって初の18番枠からのVとなった。
現役時代は国内外で大活躍し、種牡馬入り後も多数の重賞馬を出しているカナロア。ダノンスマッシュなど多くの産駒が父と同じ安田隆厩舎で管理され、産駒の厩舎別勝利数85勝は2位に4倍強の差をつける。父を知り尽くしているからこそ、子との接し方も把握している。安田隆師は「(スコーピオンは父と)性格が似ている。本当に落ち着いていて普段はこっちが大丈夫かな?という感じでも、競馬では100%の力を出してくれます」と目を細めた。
アーリントンCから中2週での戴冠。間隔が詰まっているため、次走に関してトレーナーは「馬の状態を見極めてから」と話したが、安田記念(6月5日、東京)への挑戦にも含みを持たせた。父ロードカナロアも、厩舎の先達カナロア産駒ダノンスマッシュも成し遂げられなかった3歳でのG1制覇を果たしたダノンスコーピオン。「デビュー時から高いポテンシャルを感じていた」とは川田の弁。ならば、さらなる高みを目指していくだけだ。
《「父カナロアの日」に》ロードカナロア産駒はJRA重賞53勝。うち20勝を安田隆厩舎が挙げている。安田隆師はJRA重賞54勝で、前述通り20勝がカナロア産駒、そして7勝がロードカナロア自身の重賞勝ち。相思相愛の好相性だ。「安田隆カナロア産駒」では20年9月13日にもトロワゼトワルの京成杯AHと、ダノンスマッシュのセントウルSで同日同厩舎同産駒重賞Vを果たしており、2回目の快挙となった。
◆ダノンスコーピオン 父ロードカナロア 母レキシールー(母の父スライゴベイ)牡3歳 19年2月22日生まれ 栗東・安田隆厩舎所属 馬主・ダノックス 生産者・北海道新ひだか町のケイアイファーム 戦績6戦4勝(重賞2勝目) 総獲得賞金2億1674万3000円。馬名の由来は冠名+サソリ。
【NHKマイルCアラカルト】
☆騎手&調教師 川田はNHKマイルC9度目の騎乗で初勝利。JRA・G1は桜花賞(スターズオンアース)以来で今年2勝目、通算20勝目。安田隆師は同レース初勝利。JRA・G1は21年高松宮記念(ダノンスマッシュ)以来で通算14勝目。
☆血統 ロードカナロア産駒は同レース延べ13頭の出走で初勝利。JRA・G1は21年高松宮記念以来で通算13勝目。18年から5年連続でJRA・G1勝利。
☆生産者 ケイアイファームは延べ6頭の出走で同レース初勝利。JRA・G1は21年高松宮記念以来で通算7勝目。
☆馬主 ダノックスは10年ダノンシャンティ以来、同レース2勝目。JRA・G1は21年高松宮記念以来で通算9勝目。
☆関西馬 20年ラウダシオン以来の勝利。通算成績は関西17勝、関東10勝。
☆最高払戻 複勝(10)4780円は07年に記録した3900円(3着ムラマサノヨートー)を更新し同レースの式別最高払戻金額。