【ヴィクトリアM】強力先行勢は坂でお疲れ…テルツェットの切れ味

2022年5月12日 05:30

追い切りを行ったテルツェット(撮影・西川祐介)

 予想の重要ファクターである展開を、さまざまな角度から検証する春のG1企画「展開王~前か後ろか」。ヴィクトリアマイルの2回目は末脚鋭いテルツェットに注目した。差し馬優勢のG1だが、今年も末脚勝負で届くのか?過去のレースラップと位置取りを分析した結果は――。

 ヴィクトリアマイルは好位~中団からの差し馬が優勢。まずは1、2着馬の通過順。4角を5~13番手で通過した馬が連対20頭のうち過半数の13頭を占める。一方で14番手以下からの連対は皆無。後方一気では届かない。続いて前半3Fの通過タイム。33秒台の激流(16、19年)だと先行馬は失速。35秒台(17、18年)では、いわゆる“直線ヨーイドン”の競馬。瞬発力に勝る馬が有利となる。中間の34秒台で流れると、前が残りやすい。

 今年はどうか。34秒台で流れたと仮定して、参考にしたいのが昨年(21年)のラップタイム。直線残り400~200メートルの区間が1F10秒9。急坂を一気に駆け上がる区間で、レシステンシアが加速して好位グループから抜け出した。ここで脚を使い切り、ラスト1Fで失速し6着。“前残りの流れ”を生かせなかった。この区間で10秒台に突入した2回(他は17年)は、いずれも上位3着までを差し馬が占めた。

 今年もレシスに加え、ソダシ、レイパパレと先行勢が強力。坂の攻防は激しく、同じ区間で再び脚を使わされる懸念がある。そこでテルツェットに注目。東京マイルは3戦2勝。いずれも上がり3F33秒台と切れる。昨年の当レースでは出遅れて流れに乗れず。14着に大敗したが3F33秒5は3着マジックキャッスル(4角7番手)と同じ上がり。位置取りの差に泣いた。加えて「昨年はイレ込みがひどかった」と和田正師。テンションが上がりやすい面を考慮し、今年は単走追いでソフトに仕上げた。

 指揮官は「後方からでは厳しいので、ある程度の位置は欲しい」とも語る。発馬を決めて流れに乗ることが前提だが、それでも脚を使えることは、過去のレースぶりが証明している。もし前が残っても、13、14年のように相手は差し馬というケースも。東京マイルのG1では、差し馬は必ず馬券に組み込むべきだ。

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