【チャンピオンズC】ノットゥルノ95点 村神様の向こうを張る筋肉量とヤングパワーで有力候補

2022年11月29日 05:30

ノットゥルノ 

 ダート界の「村神様」だ。鈴木康弘元調教師(78)がG1有力候補の馬体を診断する「達眼」。第23回チャンピオンズC(12月4日、中京)では昨年の優勝馬テーオーケインズと共にノットゥルノをトップ指名した。達眼が捉えたのは史上最年少(22歳)で3冠王に輝いたヤクルト・村上宗隆選手の向こうを張る圧倒的な筋肉量。「2022ユーキャン新語・流行語大賞」にノミネートされた野球関連の候補になぞらえながら馬体を解説する。

 今年最も話題となった言葉を選ぶ「2022ユーキャン新語・流行語大賞」の候補30語が発表されました。今年のノミネートでは野球関連が6語で最多。大賞とトップ10はあさって(12月1日)発表されますが、大賞候補に挙がっているのが「村神様」。今年、日本人選手最多のシーズン56本塁打を放った村上宗隆選手のニックネームです。

 同じく大賞候補になっている親会社の乳酸菌飲料「ヤクルト1000」を飲んで睡眠の質が良くなったかどうかは「知らんけど」、その肉体は凄い。ボディービル選手権に出場しても球界屈指の筋肉量でMVPを獲れるのではないか。

 ダート界屈指の筋肉量といえば、3歳馬ノットゥルノと5歳馬サンライズホープ。中でも人間の20代前半に相当する3歳の晩秋を迎えたノットゥルノは伸び盛りという点でも村神様をイメージさせます。大きい顔が小顔に見えるほど肩の筋肉が分厚い。成長のバロメーターであるキ甲(首と背中の間の膨らみ)はまだ抜けていないため尻よりも低い位置にあります。キ甲が成長すれば、連動して分厚い肩はもっと発達してくる。

 ダート馬には後肢より前肢が目立つ体形が多いのですが、馬の村神様はトモ(後肢)の筋肉も立派。驚異の肩と釣り合いが取れたトモのパワーを大きな飛節が逃さず推進力に変えています。「ヤー!パワー!」。流行語大賞にノミネートされた筋肉芸人なかやまきんに君の決めゼリフを口にしたくなる後肢パワーです。ダート馬としてはつなぎが長め。クッション性が高いので脚抜きのいい道悪の砂にも対応できるでしょう。四肢の腱がしっかり浮き出た丈夫な脚。加減せずに調教できます。

 3歳馬だけに顔つきには少し幼さが残っている。歴戦の古馬らしい厳しい顔つきのテーオーケインズ、サンライズホープから見れば、高校生みたいな童顔。「青春って、凄く密なので」。夏の甲子園を制した仙台育英監督にエールを送られた高校球児のような顔です。それでも、目と耳を前方の一点に向けて集中力を示している。

 流行語大賞の発表から3日後にはダート大賞も決定します。ノットゥルノ様も村神様の向こうを張る筋肉量とヤングパワーで有力候補に躍り出ました。 (NHK解説者)

 ◇鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の78歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94~04年に日本調教師会会長を務めた。JRA通算795勝、重賞はダイナフェアリー、ユキノサンライズ、ペインテドブラックなど27勝。19年春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。

特集

2022年11月29日のニュース