大久保正陽元調教師は記者魂を注入してくれた恩人であり戦友

2023年1月26日 05:30

92年6月14日、メジロパーマーで宝塚記念を制した(左から)大久保正陽調教師、山田泰誠騎手、北野オーナー

 大久保(正陽)さん、ちょっとおこがましいですが私はあなたを勝手に戦友のように思っていました。35年生まれと50年生まれ。大先輩でしたが厩舎開業が73年で私のスポニチ人生スタートと同じ。栗東トレセンで最初の取材が大久保さんでした。

 当時の調教師は個性派が多かった。大久保さんも第一印象は頑固さが垣間見えました。「そうだね」だけで会話がほとんど成立しません。記者は競馬大好きで知識もあるつもり。大久保さんから「それだけではこの世界、生きていけないよ」と厳しい表情で叱咤(しった)激励を受けたように感じました。あれで競馬記者45年も続けられました。

 大久保さんは厳格な祖父・大久保福松師に、厳父・大久保亀治師。子息・大久保龍志師でJRA父子4代調教師。その頑固一徹さはDNAでしょう。旧鳴尾競馬場下乗り時代。多忙な日々の中であなたは立命館大学法学部を卒業。「8年もかかりましたが」と語った穏やかな笑みが印象的です。大久保さんといえばナリタブライアン。定年引退(06年)後の16年3月。「日本ダービー特集号」取材で栗東のご自宅へ伺った時、本が書けるくらい熱っぽく話してくださったこと、感謝とともに一生忘れません。エリモジョージ(76年天皇賞・春)の話も良かったですね。あなたは私に記者魂を注入してくれた恩人であり、戦友でした。ありがとうございます。安らかにお休みください。(関西競馬記者クラブ会友・井上泰司)

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