福永祐一師 涙の引退式で偉大な父に感謝「ジョッキーとしては福永洋一、北橋先生の作品」

2023年3月5日 05:30

写真に納まる福永祐一元騎手(右)と父・福永洋一氏(中央)、母・福永裕美子氏(撮影・亀井直樹)

 涙、涙の引退式。先月限りで騎手を引退し、1日から調教師に転身した福永祐一技術調教師(46)の騎手引退式が4日、阪神競馬場の全レース終了後に行われた。

 JRA歴代4位の2636勝を挙げた名手の引退式に、多くのファンが駆けつけた。福永師は20年3冠馬コントレイルの勝負服で登場。師匠・北橋修二元調教師から「ご苦労さまでした」と、ねぎらいの言葉を受けると感極まって涙。福永は「小さい頃は父親の介護もあり、家族が大変でした。動物園に連れていってもらったり、それを代わりにしてくれたのが北橋先生。家族同様、それ以上の関係性を築かせていただきました」と声を震わせた。

 落馬事故で騎手を引退した父・洋一さん、母・裕美子さんも引退式に登場。福永師は「福永洋一の息子として生まれてこなければ、騎手の道を選ぶことはありませんでした。母親に対しては、競馬に興味のなかった自分が騎手になると驚かせてしまい、つらい思いを27年間もさせ続けてきた。長きにわたった親不孝を終えることができてホッとしているし、申し訳ない気持ちでもいる。ジョッキーとしては福永洋一、北橋先生の作品だと思っています」と振り返った。

 G1初制覇を飾った99年桜花賞(プリモディーネ)など思い出の詰まった阪神で家族、ジョッキー仲間、ファンに見送られ「デビューから多くの方々に応援してもらい、幸せな騎手人生でした」と感謝。今後は調教師として競馬界を盛り上げていく。

 《誘導馬に騎乗》引退式に先立ち、福永はチューリップ賞で誘導馬に乗って出走馬を先導した。騎乗したミツバ(セン11)は自身が3度コンビを組み、18年の名古屋GP2着の実績。本人の希望もあり、騎乗が実現した。「JRAの方々もいろいろと考えてくださいましたし、自分が乗っていた馬の返し馬を近くで見られていい記念になりました」。最後にファンへ一礼して手を振ると、万雷の拍手が起こった。

 《フィーバー1万8353人》阪神競馬場が“福永フィーバー”に沸いた。アクセスとなる阪急今津線は朝から乗客でごった返した。この日の阪神競馬場には1万8353人が入場した。場内では「福永騎手 引退メモリアルブック」が配られた=写真。先週土曜の阪神は入場7377人で、普段と比べても大幅にアップ。多くのファンが最後の姿を目に焼き付けようと、競馬場へ足を運んだ。

 ▼武豊 いいレースをたくさん一緒につくってこられた。感謝しています。調教師として名馬を連れて戻ってきてください。

 ▼川田 サウジアラビアでの最終騎乗を終え、帰ってきてからの爽やかな笑顔がとても心に焼きついております。本当に無事に終えられて何よりです。

 ▼和田竜 同期でよく集まってユタカ(武豊)さんとか先輩騎手をどう打ち負かそうかと話していたのをよく思い出します。祐一が同期で良かった。孫の代まで福永祐一が同期だったよと自慢したいと思います。

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