渡辺師と福永師ヴェラアズールの“激走”期待
2023年3月24日 05:00 【競馬人生劇場・平松さとし】
「ドバイは今回が正真正銘、初めてです」
そう口にしたのは渡辺薫彦調教師。管理するヴェラアズールで、今週末25日に行われるドバイワールドC(G1)に挑む。
同馬はご存じ、昨年のジャパンC(G1)の覇者。しかし、続く有馬記念(G1)ではまさかの10着。渡辺師は分析する。
「決して悪い状態ではなかったのですが、ジャパンCが最高の出来だった上に厳しい競馬をしのいだので多少、疲れがあったかもしれません。また、立場が変わって道中のプレッシャーもキツくなりました」
その後は年明けに栗東トレセン近隣の牧場に放牧。2月中旬に帰厩した。
「疲れはすっかり取れて、それからは順調に乗り込まれています」
今回は久しぶりのダート戦になるが、その点については次のように続ける。
「芝でG1を勝ったけど、元々ダートで良い競馬をしていた馬なので、心配はしていません」
もっとも今回は日本勢だけでもサウジC(G1)を逃げ切ったパンサラッサを筆頭に、テーオーケインズ(21年チャンピオンズC)、ジュンライトボルト(22年チャンピオンズC)、カフェファラオ(21、22年フェブラリーS連覇)などがいる他、ドバイで圧勝続きのアルジールスや昨年の覇者でダート大国である米国の調教馬カントリーグラマーなどそうそうたるメンバーがそろう。
「そうですね。ダートに限れば決して日本でトップというわけではありませんから、簡単に勝てるとは思っていません。ただ、ドバイのダートは日本とは少し違うようなので、適性の高さがあることを願いたいです」
調教では先日騎手を引退したばかりの福永祐一調教師が連日、またがっている。渡辺師は福永師から次のような報告を受けたという。
「“競馬と調教は違うので、何とも言えないけど、少なくとも調教の感じではしっかり走れている”と聞きました」
ジャパンCの覇者が海の向こうのダートでアッと言わせる場面があるのか。期待したい。 (フリーライター)