【NHKマイルC】クルゼイロドスル“異端の道”で新たな歴史 中16週で心身充電

2023年5月5日 05:30

厩舎周りで運動を行うクルゼイロドスル(撮影・亀井直樹) 

 新たな歴史の扉を開くか。クルゼイロドスルの父ファインニードルは18年にスプリントG1春秋連覇を達成。父は全10勝のうち、未勝利戦(1400メートル)を除く9勝を1200メートルで挙げた生粋のスプリンターだった。昨夏にデビューした産駒もスプリント適性が高く、JRAの芝7勝中、クルゼイロドスルの2勝以外は全て1200メートル。唯一、マイルを勝っているこの馬は異端児と言っていい。

 父も管理した高橋義師は「スピードがあって走りたい気持ちが強いのはお父さんに似ていますね。ただ、この馬はお母さん(スタリア)の血が濃く出ているようで、距離の幅も持ち合わせています」と目を細めた。マイルG1で戴冠を果たせば父の種牡馬としての価値も高まる。「おこがましいですが管理させていただいた分、そういうところにも責任があるのかな」と意気込みを語った。

 前走・ジュニアC1着から中16週で臨む臨戦過程も異色だ。過去10年の3着以内馬で、最長のレース間隔は13年3着フラムドグロワール(前走・京成杯10着)で中14週だった。前走で賞金を加算したことでG1直行を選択。アクシデントがあったわけではなく、成長を促す意図があった。高橋義師は「能力は高いですが、体の細かいところとか気持ち的な部分も含めて、充電期間に充てた方がいいという判断」と説明。担当の矢野助手も「体に幅が出てきた。しっかり乗り込めたことで口向きも良くなった。これなら競馬でも着用していたクロス鼻革なしでいけそうです」と手応え十分。狙い澄ました直行ローテで大仕事の準備は整っている。

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