メイショウドトウ SNSでも人気“若い27歳”ドットさん

2023年8月9日 05:05

ノーザンレイクで余生を過ごすメイショウドトウ

 あの馬、今も元気です――。東京本社の田井秀一記者(30)が、かつてターフを沸かせた引退名馬を訪ねる全4回の連載企画「田井秀一のあの名馬は今」。初回は引退馬協会所属のメイショウドトウからスタート。けい養先の北海道新冠町ノーザンレイクを訪問した。

 新千歳空港から車で2時間弱、新冠町のサラブレッド銀座に到着。出迎えてくれたのは、ノーザンレイクに暮らすメイショウドトウです。01年宝塚記念優勝馬にして、テイエムオペラオーの宿命のライバル。引退から22年。牧場が発信するSNSが人気で、ファンからは“ドットさん”の愛称で今も親しまれています。

 「メイショウ」松本好雄オーナーから「引退馬の支援活動を広める役に立てるなら」と引退馬協会に譲渡され、現在はフォスターホース(同会の所有馬。会員の会費や寄付などで支えられる)の顔として余生を過ごしています。日々の世話をしているノーザンレイクの佐々木祥恵さんによれば、「おっとりしたイメージがあるかもしれませんが、集牧の時に立ち上がったり元気いっぱいです。性格はあざとい感じ。冬場にお湯を持っていくと、リズミカルに寄ってくるんですよ。それが凄く可愛くて。あとは、ニンジンを持っている人が近づくとシャキッとしますね(笑い)」。27歳とは思えない奇麗な毛ヅヤをしていて、獣医師にも「体つきが若い」と太鼓判を押されているそう。7月末に右後肢にフレグモーネを発症しましたが、8月初旬の取材日には元気な姿を見せてくれました。

 昨夏、同じくノーザンレイクでけい養されていたタイキシャトルが老衰のため、この世を去りました。佐々木さんは「馬房から顔を出して突き合わせたり仲良しでした。シャトルが亡くなった時は本当に寂しそうで。ドトウをいつも通り放牧地に出すと、ずっとシャトルを呼んでいました」と当時を振り返ります。バナナが大好きだったシャトルと、ニンジン派のドトウの性格は「ほぼ真逆」だったそうですが、2頭は気の許せる友達、あるいは2歳違いの兄弟のような関係だったのかもしれません。

 取材に対応してくれた佐々木さんは、美浦トレセンでも取材していた競馬ライター。今は引退馬をじかに支える仕事にも従事され、記者の憧れの存在です。「寄付に頼らず養老牧場を運営することはまだまだ難しい」と現状も教えてくれました。ドットさんのように幸せな余生を過ごせるサラブレッドが一頭でも増えるように――。競馬ファンの皆さまとその思いを共有できることを願い、この連載をつづっていきます。ぜひ、最後までお付き合いください。

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2023年8月9日のニュース