【小倉2歳S】5番人気アスクワンタイム大外一気 18年ファンタジストと兄弟V

2023年9月4日 05:15

<小倉2歳S>レースを制したアスクワンタイム(10)(撮影・中村 達也)

 「第43回小倉2歳S」は後方で運んだ5番人気アスクワンタイムが鮮やかな大外一気。18年ファンタジストとの兄弟Vを飾った。

 アスクワンタイムは10頭立ての道中9番手を追走。直線、外から上がり3F34秒4とメンバー最速の脚を繰り出し、先行勢を差し切った。未勝利勝ちから連勝でタイトル獲得。前週ワールドオールスタージョッキーズで初出場初優勝を飾った岩田望がまたも話題をさらい夏の小倉をビシッと締めた。「今日は差しが決まっていたし、ゆっくりとリズム良く運んだ。直線に向いて反応が良かったので届くと思いました。乗りやすくて自在性がある。千二だけではなく、距離が延びても大丈夫だと思います」と称えた。

 厩舎ゆかりの血統。18年小倉2歳Sを制した全兄ファンタジストに続く兄弟制覇。梅田師は「ビックリだね。この兄弟にはいつも驚かされる。よっぽど小倉が好きなのかな。正直、兄と比べて体もメンタルも幼くて、今回はあまり自信がなかった。先につながる競馬を…と思っていたが期待以上の走りでした」と興奮気味に話す。同じく厩舎の先輩で昨年、北九州記念を制した全姉ボンボヤージ(今週セントウルS登録)を合わせ、3きょうだい重賞Vを成し遂げた。

 ファンタジストはその後、京王杯2歳Sを制覇。実績を積み上げたが19年京阪杯でアクシデントに見舞われた。3角付近で転倒し、競走中止。急性心不全で命を落とした。調教師や厩舎スタッフらにとって今回の勝利は最高のプレゼント。兄の分まで、活躍に期待が膨らむ。「素直なのが一番の良さ。心身ともまだ完成していないけど、それだけ伸びしろがある。(今後は)距離が延びても対応できるように調整していくつもりです」と前を向く。

 熱中症による多臓器不全で先月8日に急死した昨年の菊花賞馬アスクビクターモア。冠名アスクで知られる廣崎利洋オーナーにとっても、うれしい勝利となった。梅田師は「オーナーは英国にいて、まだ勝利の報告ができていない。また連絡がついてから(次走を)考えます」と笑顔で語った。これからもたくさんの思いを背負ってターフを駆け抜ける。

 ◇アスクワンタイム 父ロードカナロア 母ディープインアスク(母の父ディープインパクト)21年4月4日生まれ 牡2歳 栗東・梅田厩舎所属 馬主・廣崎利洋氏 生産者・北海道平取町のASK STUD 戦績3戦2勝(重賞初勝利) 総獲得賞金3976万4000円。馬名の由来は冠名+もう一度、再び。

 ≪記録アラカルト≫
 【岩田望来】小倉2歳Sは2回目の騎乗で初勝利。JRA重賞はレパードS(ライオットガール)に続いて今年3勝目、通算5勝目。

 【梅田師】小倉2歳Sは18年ファンタジスト以来、5年ぶり2勝目。JRA重賞は昨年の北九州記念(ボンボヤージ)以来、通算8勝目。

 【血統】ロードカナロア産駒は18年ファンタジスト以来、5年ぶり2勝目。JRA重賞は東京ジャンプS(ジューンベロシティ)に続いて今年6勝目、通算62勝目。

 【きょうだい制覇】小倉2歳Sのきょうだい制覇は94年エイシンサンサン(牝)&95年エイシンイットオー以来、2組目。

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