10年前仏遠征経験 尾関師の挑戦に期待
2023年9月29日 05:17 【競馬人生劇場・平松さとし】今年も凱旋門賞が2日後に迫った。日本馬が強くなり、海外でのG1勝ちも珍しくなくなった現在だが、この欧州最高峰のレースはまだ頂点に立った例がない。それもそのはず、欧州の2400メートルのG1を勝った日本調教馬は、いまだに99年のエルコンドルパサー(サンクルー大賞)ただ一頭なのだ。
そのエルコンドルパサーは同年の凱旋門賞で2着に好走。日本馬初の凱旋門賞連対を果たした。この時は、日本馬が凱旋門賞を勝つ日も近いかと思われたが、その後、好走できる馬はなかなか現れなかった。そんな中、ついにエルコンドルパサー以来の2着に好走したのがナカヤマフェスタだった。これが2010年の話。実に11年の歳月が流れていた。
これだけの間隔が空いた2頭だが、実に大きな共通点があった。それは美浦・二ノ宮敬宇調教師(引退)が管理し、蛯名正義騎手(現調教師)が手綱を取ったという点だ。逆に大きな違いはエルコンドルパサーが地元でも人気の一角に推されていたのに対し、ナカヤマフェスタはダークホースだったという点。しかし二ノ宮師は、ナカヤマフェスタがG1宝塚記念を勝つ前の段階で凱旋門賞に登録。しかもそれがエルコンドルパサー以来の登録だったというのだから、期待のほどがうかがえる。当時、二ノ宮師はこう語っている。「(蛯名)正義に11年も年を取っちゃったけど(凱旋門賞に)行ってくれるか?と聞いたら“その分、経験は積みましたから”と即答してくれました。これが心強くて、遠征に踏み切れました」
さて、今年はスルーセブンシーズが出走する。管理する尾関知人師にとっては初めての凱旋門賞挑戦だが、13年にキズナ(4着)が挑んだ際、師は帯同馬のステラウインド(前日のドラール賞に出走)と共に現地にいた。あれから10年。経験を積んだ尾関師の新たな挑戦に期待したい。 (フリーライター)