【追憶の弥生賞ディープインパクト記念】05年ディープインパクト ダービーVへ最大の要所となった一戦
2024年2月28日 06:45 今、VTRを見てもドキドキする。ディープインパクトが勝った、と分かっているのに、である。
残り200メートルで内からアドマイヤジャパン、ダイワキングコン、マイネルレコルト、ディープインパクトが4頭横並び。しかもディープインパクトは手前が替わっていない。
それでも大きな完歩で前に出るディープインパクト。内から食い下がるアドマイヤジャパン。最後は首差、ディープインパクトが前に出た。
ダービー制覇に向け、この弥生賞が最大のポイントだった。ダービーでピークを迎えるためには、ここで仕上がりすぎては、よろしくない。
ディープインパクトが現役生活を終えた後、市川明彦厩務員に聞いたところ「今だから言えるが、弥生賞での仕上がりは6割だった」と明かしてくれた。
「ディープインパクトなら6割の出来でも勝つだろう」と思うのは、我々がその後の同馬の活躍を知っているから。当時はまだ2戦2勝のオープン馬でしかなかったのだ。6割なら何とか突破できるのでは、とにらんだ陣営の読みには感服するしかない。
実際、ダービー直前、同厩務員は「出来は100パーセントになりました」と話していた。弥生賞で状態を上げすぎなかったことが吉と出たのだ。
今年のクラシック戦線も、ここから佳境へと入っていく。ディープインパクトの頃と、外厩が状態面において鍵を握る現代とは微妙に趣は異なるが、ダービーに向けての“コンディションづくり”という面での戦いは、もう始まっていると思っていいのだろう。