【金鯱賞】菊花賞馬ドゥレッツァ導いた尾関師の英断

2024年3月8日 05:20

<菊花賞>最後の直線で抜け出し、菊花賞を制したルメール騎乗のドゥレッツァ(手前)(撮影・椎名 航)

 【競馬人生劇場・平松さとし】ドゥレッツァがデビューしたのは2歳だった2022年の9月。1番人気に推されたが3着に敗れた。しかし、11月に臨んだ2戦目は、1番人気に応えて快勝。年が明けて、3戦目を迎える予定でいた。

 「ところがそこで挫石や傷腫れが相次ぎ、使えなくなってしまいました」

 当時を述懐するのは尾関知人調教師だ。

 結局、戦列に復帰できたのは4月になってから。クラシック1冠目の皐月賞(G1)が目前に迫った時期だった。この山吹賞はスタートで落馬寸前の不利がありながら、最後は楽に抜け出し、先頭でゴールイン。ダービー(G1)にギリギリ間に合うか!?という時期に2勝目を挙げた。再び尾関師の弁。

 「競馬ぶりが良かったので青葉賞を使えば権利を獲れて、ダービーに出られるかと考えました」

 しかし、そこでもう一考したと続ける。

 「ただ、権利を獲れたとしても、本番のダービーでも好勝負ができるのか?と考えると、ここで無理をさせてはいけないと考え直しました」

 自重。続く一戦はすでにダービーが終わった後の6月。ホンコンジョッキーCTとすると、ここも快勝。さらに8月の日本海Sで4連勝目を飾ると、ついにG1への出走を表明。菊花賞(G1)にエントリーした。

 「大外(17番)枠に決まった時は、やはり大外で5着に負けたグローリーヴェイズのことが頭に浮かび、嫌な感じがしました」
 ゲートが開くと道中ハナに立つ場面。長丁場のG1でいきなり今までやったことのない形になり「目を覆った」と続けた。ところが…。

 「掛かったと思えたのに、最後に突き放しました。あまりの強さに驚きました」

 こうして菊の大輪を射止めたわけだが、春に無理してダービーへ向かっていたら、ドゥレッツァの馬生はまた違ったものになっていただろう。

 そんな菊花賞馬が今週の金鯱賞(G2)で戦列に復帰する。休み明けも苦にせず連勝を6に伸ばすか。注目したい。 (フリーライター)

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