【桜花賞】杉山佳師 イフェイオンで憧れ夢舞台!「勢いに乗っていい結果が出れば」

2024年4月3日 05:30

桜花賞に挑むイフェイオンと杉山佳明調教師

 春G1シリーズの水曜企画は「G1 追Q!探Q!」。担当記者が出走馬の陣営に「聞きたかった」質問をぶつけて本音に迫る。24年クラシック開幕戦「第84回桜花賞」は大阪本社・寺下厚司(40)が担当。イフェイオンを送り込む杉山佳明師(40)に「ローテ」「高配当演出」「桜花賞」の3テーマを問う。

 近年の桜花賞は非トライアル組が主流。18年以降はトライアルを使わず、中7週以上の間隔で参戦した馬が桜の女王に輝いた。イフェイオンもフェアリーS1着から中12週のローテを選択。管理する杉山佳師は「賞金はあるし馬のテンション面も含めて、桜花賞へ直行でいいかなと思った」。本番と同じ舞台のトライアル・チューリップ賞を使うことは考えなかったのか?「坂のあるコースは(中山で)こなしているし、近距離の競馬場も京都で走っている。消耗せず一戦一戦を大事に行った方がいい」とローテに迷いはなかった。

 トレセンで働く前は10年弱、生産した社台ファームに勤務。北海道や宮城・山元トレセンで育成や休養馬に携わった。同じ馬主・社台レースホースのソールオリエンスは昨年、京成杯勝ちから中12週で皐月賞制覇。「去年の例もありましたし、前走後は同じ山元トレセンに出しました。中間も見に行ったけど“スムーズに調整できた”と言ってもらえたし、少しキ甲が抜けて形も良くなってきた。帰ってきてからもずいぶん落ち着いていますし“馬のバランスも良くなった”と乗っている助手も話していました」。思惑通り、順調な仕上がりで大舞台に挑む。

 杉山佳厩舎は買い続ければもうかる!?穴党御用達の厩舎は今年の複勝回収率188%の黒字収支で、15頭以上出走している厩舎では堂々トップ。人気薄で好走する要因は?「調教はあえて馬場の悪い時間帯に乗っていて、速いところで負荷をかけるより、馬場の悪い中でもしっかり動けているかを重要視しています。目立った時計も出ていないので、人気をしないのもあるのかな」と自己分析する。

 G1でも22年のNHKマイルCに送り込んだカワキタレブリーが18番人気(単勝オッズ229・1倍)ながら3着に激走した。「あの時も“具合はいいですよ”とずっと言っていたんですよね。18番人気で勝つとは言わないけど、うまくいったら3着はあるかなと。3着争いのコンマ何秒というのは何とかなりますから」。有言実行の3着だった。

 指揮官は松永幹夫騎手(現調教師)に魅せられて競馬に興味を持った。「引っ越した先が西宮市(兵庫)で、母親に“興味本位で近くの阪神競馬場に行ってみたい”と言って連れて行ってもらった。松永幹夫騎手が格好いいなと思って、よく競馬場に足を運びましたね」。初めて見た桜花賞は松永幹騎乗のキョウエイマーチが勝った97年だった。

 開業4年目でクラシックに初挑戦。「イフェイオンは1歳の春に初めて見ました。本当に線の奇麗な馬だった。こういう馬でクラシックを目指せるんじゃないか」。その期待通り、順調に成長した。「社台ファームさんの馬で賞金を持って狙っていけるのはありがたいこと。G1はそんなに簡単ではないと思いますけど、勢いに乗っていい結果が出れば」。憧れの夢舞台に調教師として挑む。

 《取材後記》 杉山佳師の周りには自然と穴党の記者が集まる。自分もその一人だが、何を聞いても丁寧にハキハキと返答。取材をしていても気持ちがいい。「競馬しか趣味がない」という指揮官。研究熱心な姿勢が人気薄での激走にもつながっている。

 「全レース見ていますし、パドックの映像も全レースチェックしています。次のレースではこの馬を避けた方がいいとか、この馬は負けているけど不利があっただけで、いい馬だから次は良くなるだろうとか。調教の時は角馬場まで見に行くけど他の厩舎の馬を見て調子がいいなとか、いい勝負をするんじゃないかとか、見ていて思いますね」

 出走するレースを決める時はギリギリまで想定メンバーをチェック、相手の調教時計も見た上でゴーサインを出すこともあるという。競馬記者も顔負け!?の分析力が高配当演出の鍵になっている。 (寺下 厚司)

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