【皐月賞】絶好枠からメイショウタバルの単騎逃げ!
2024年4月13日 05:23 展開面にスポットを当てて勝ち馬をあぶり出していくG1企画「展開王」。今春はやや苦戦気味とあって、業を煮やした長老・梅崎晴光記者が「皐月賞」担当に名乗りを上げた。一見、先行馬の多いメンバー構成だが、枠の並びが大きなポイント。絶好1枠2番からメイショウタバルが独り旅に持ち込むと読んだ。
猫の首に鈴という。名案であっても実行するのが困難な危険な行動を指す。ネズミたちの会議で猫の所在が分かるよう首に鈴を付けることが提案されたが、引き受けるネズミは一匹もいなかった。この有名なイソップ寓話は皐月賞にもそのまま当てはまる。
内枠2番を味方に逃げを打つメイショウタバル。その気性は猫より怖い虎である。闘争心を燃えたぎらせた眼光、口の端が切れそうになるほど強いハミ受け、刃物の切っ先のように鋭く立てた耳。近づけば、その耳を絞って威嚇してくる父ゴールドシップそっくりの面構え。虎の首に鈴を付ける無鉄砲はいないだろう。シリウスコルト、アレグロブリランテなどの先行馬は競り合いを避けて直後に控える。メイショウタバルの単騎逃げは約束されたも同然だ。
3角手前ではサンライズアース、コスモキュランダが前走同様、緩いペースにしびれを切らして外から接近。そんな向こう見ずな仕掛けも再加速して引き離せるのがメイショウタバルの強みだ。前走毎日杯では直線入り口で後続を一気に突き放して6馬身差の逃げ切り。フレグモーネ(傷腫れ)が尾を引き臨戦過程に狂いが生じる中での圧逃劇だった。ゴール前で猛追するライバルに抜かされまいとするゴールドシップ譲りの勝負根性も備えている。後続勢にとってはまさに前門の虎である。後肢にはマイラーのような大きな筋肉。初めて経験する中山の直線に待ち受ける急坂も後肢のパワーで乗り切れる。
♪越すに越されぬ 田原坂…と歌われた西南戦争の激戦地、田原坂(熊本市)から命名されたメイショウタバル。虎の首に誰も鈴を付けない以上、中山坂はあっさり越しての逃げ切りだ。