英国の“恩師”に朗報届けてほしい三浦
2024年6月28日 05:05 【競馬人生劇場・平松さとし】
先日、三浦皇成騎手と会話をしていた際に、何の拍子か彼が以前、行った英国競馬の話題になった。
2008年にデビューした三浦騎手。いきなり91勝を挙げ、それまで武豊騎手が持っていたJRA新人最多勝記録の69勝を大幅に更新。2年目の09年に英国へ武者修行のために渡ると、翌10年もかの地へ飛んだ。2年目は一軒家を借りて約2カ月滞在。馬の街で知られる以外、特に娯楽のないニューマーケットで、馬漬けの日々を過ごした。
「競馬に関しては本当にタイトでした。インコースを走る馬はラチにぶつかるのでは?というくらい内を回っているし、馬群は隙間なくひとかたまりになっています。正直驚きました」
また「気をつけてはいたけど…」というムチの使用制限を、それでも超過して騎乗停止になってしまうひと幕もあった。
「そういったことも含め、日本と違う競馬を経験できたのは勉強になりました」
そう言って本場の厳しさについて語ったが、実は英国初騎乗のレースで彼はいきなり勝っている。それどころか続く現地2戦目も勝利し、何と英国でのデビュー2連勝という離れ業をやってのけている。
「現地で自分の面倒を見てくれた調教師が“この競馬場なら”という理由で乗せてくださったのが、大きな勝因です」
初勝利を挙げたのはフォスラス競馬場。周回になっていなかったり、激しいアップダウンがあったりするのが当たり前の英国の中にあって、オーバルの平たんで、日本の競馬場に近いコース設定。そのあたりを加味した調教師が、乗せてくれたのだ。
ちなみにその調教師は王室から“サー”の称号を授けられているマーク・プレスコット調教師。一昨年の凱旋門賞馬アルピニスタを育てた名トレーナーである。
今月5日にはラムジェットで東京ダービー(Jpn1)を制した三浦騎手。JRAの、そして世界のG1制覇という朗報を英国の師匠に届けられる日が、もうそこまで迫っていると信じたい。 (フリーライター)