【追憶のキーンランドC】08年タニノマティーニ 最低人気馬が快勝!北海道開催に不可欠の穴馬

2024年8月21日 06:45

08年キーンランドカップ、レコードタイムで優勝したタニノマティーニ(左)と鞍上・秋山真一郎騎手

 08年8月31日は札幌でキーンランドC、新潟で新潟記念の2重賞が行われ、ともに16番人気馬が勝つという、驚きの結果となった。

 新潟記念は18頭中16番人気のアルコセニョーラ。07年紫苑S(当時オープン)、福島記念(G3)を制した強豪も08年は出走する重賞全てが2桁着順。12番人気も仕方のないところで3連単は102万8690円ついた。

 キーンランドCを制したのはタニノマティーニ。16頭立ての16番人気でこちらは正真正銘の“ビリ人気”だ。当時、WIN5があったら、果たして的中者は出たのだろうか。

 とはいえ、タニノマティーニは、その前の函館でのUHB杯、苦手な不良馬場の中で5着に踏ん張った。前年のUHB杯では8番人気で勝っており、北海道開催ではどこかで穴を開けるというイメージはあった。

 鞍上は秋山真一郎(現調教師)。3枠5番から好スタートを切り、インの4番手でじっくりと流れに乗った。直線。逃げ粘るビービーガルダンを残り30メートル付近で捉える。懸命に追い上げるキンシャサノキセキも退け、最低人気馬の下克上は成った。

 「いい時に乗れてラッキーでしたよ」と笑顔の秋山。もちろん、ただ幸運だったわけではない。同馬の函館での調教に丹念にまたがり、札幌輸送後の金曜、土曜も稽古をつけた。連日、鞍上にいた秋山へのタニノマティーニからの素敵なプレゼントだったのかもしれない。

 驚きの表情を隠せなかったのは須貝彦三調教師だ。報道陣に囲まれての第一声は「まさかだろ」だった。

 「夢の話のようだ。5着までに来ればいいと思っていたんだ」。当日の競馬場には谷水雄三オーナーの姿もなければ、生産したカントリー牧場の関係者もいなかった。

 これで胸を張ってスプリンターズSですね?との報道陣の問いに「いやいや、先のことは何も考えられない」と正直な気持ちを吐露した須貝彦三師。

 タニノマティーニはそのスプリンターズSで8着と奮闘。そして翌年、札幌で行われた函館スプリントSで8番人気ながら2着。自分のキャラクターをしっかりと全うした。

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