【凱旋門賞】松島正昭オーナー アルリファーで3度目の挑戦!「武豊が勝つ姿見たい」
2024年10月4日 05:30 夢を追いかけてフランスへ。第103回凱旋門賞は3日、出走馬の騎手と枠順が確定した。アルリファーを共同所有する松島正昭氏(66)が渡仏を前にインタビューに応じ、熱く語った。オーナーとして2年ぶり3度目の大舞台。友人であり大ファンの武豊(55)が凱旋門賞を勝つところを見たい――。その思いがたっぷり込められている。
――凱旋門賞に松島オーナーの所有馬が挑むのは今年のアルリファーで通算3度目(21年ブルーム、22年ドウデュース)。今回も武豊騎手の悲願を後押しする立場になった。
「20年も共同所有だったジャパン(アイルランド)で出走する予定だったが、あの時はエイダン・オブライエン厩舎の飼料から禁止薬物が検出されて直前に出走取り消し。なので実際の出走馬は過去に2頭でしたか。その都度、凱旋門賞の魅力を感じつつ、ハードルが高いことを思い知らされます」
――日本馬ではなく現役の外国馬を購入して武豊で凱旋門賞へ!のプランは斬新に映る。
「私は武君と古くからの友人で、ディープインパクト(06年3位入線)で勝てなかった時の悔しがりようも目の当たりにしています。なので、こうしてサポートできるのは馬主冥利(みょうり)に尽きること。過去にセレクトセールでの購入時に、私の夢が大げさに解釈されましたが“武君が悲願の凱旋門賞を勝つ姿を見たい!”が正しい表現。彼の夢がかなうなら私の所有馬でなくてもいいのです」
――アルリファーを共同所有するに至った経緯を。
「この馬はシンジケートが組まれており、私は早い段階で所有している一人でした。それを今年の夏、セレクトセールで(クールモアの最高責任者)マイケル・マグナー氏とお会いした時に、所有の割合を増す話がトントン拍子に進んだのです。それも面白いことに種牡馬がきっかけで」
――と、いうと?
「キズナやキタサンブラック産駒は当然のように目の前で高値で取引されていました。私がマグナー氏にボソッと“2頭の現役時代の主戦騎手は武豊だったよ”と教えると目の色が変わったんですよ。ディープインパクトの騎手として知っているのにキズナとキタサンブラックまでは知らなかったようです。すると彼は突然、アルリファーを管理するジョセフ・オブライエン師に電話をして“凱旋門賞はマツシマの勝負服で騎手はユタカ・タケ。どうだ?”と問いかけて、OKの返事をもらったんですよ」
――アルリファーはベルリン大賞から松島オーナーの勝負服となり、レースは圧勝。
「前哨戦を使って本番の凱旋門賞へ!と聞いていたがベルリン大賞は急きょ使うことになったレース。急な連絡過ぎてジョセフ師が希望した武君を起用とはならなかったが、マジで強いと思った」
――話の内容からクールモアとの強力なパートナーシップを感じる。
「(19年に)パリロンシャンのパドックでクールモア陣営とエイダン師が一緒にいる時、当たって砕けろ!で“ジャパンを売ってほしい”と声をかけてからですね。それでも最初の頃はエージェントを介して書類とデータ上の契約だったが、トレセンの厩舎人だった伊藤強(※注釈(1))がうちに入ってくれてガラッと変わったのは事実。いい馬も、ちゃんと見せてくれるようになった。交渉の窓口になってくれるので助かっています」
――日本調教馬の参戦はシンエンペラー1頭で藤田晋オーナーとは交流があるそうだが。
「普段から懇意にしている間柄です。ドウデュースが勝った朝日杯FS(21年)の時は一緒の部屋で観戦したほど。藤田さんは今週、フォーエバーヤングでジャパンダートクラシックを勝たれたし、勢いがありますよね。凱旋門賞のレース当日はお会いするでしょうし、お互い頑張りましょうとエールを交換するような感じだと思います」
――松島オーナー自身は今秋、国内外でビッグレースが控えている。
「海外は凱旋門賞と米国がBCディスタフのオーサムリザルト(※注釈(2))です。国内は天皇賞・秋で始動するドウデュース。既に報じられているように年内で引退ですが、まずは天皇賞とジャパンCを頑張ってほしい。この馬に関しては仕上げなどで友道厩舎とノーザンファームの皆さんに心から感謝しています」
※注釈(1) 伊藤強氏は1000勝トレーナー故・伊藤雄二元調教師の次男でJRAの調教助手から一昨年に転職。松島正昭氏の右腕となり、肩書はゼネラルマネジャー。
※注釈(2) オーサムリザルトの馬主はインゼルレーシングで同クラブの代表取締役は松島正昭氏の長女・悠衣氏。
◇松島 正昭(まつしま・まさあき)1958年(昭33)2月23日生まれ、京都府出身の66歳。輸入車・国産車の正規ディーラー「マツシマホールディングス」の取締役会長。馬主歴7年目で所有馬ドウデュースが22年日本ダービー制覇。趣味のゴルフはベストスコア71。千佳夫人と同社代表取締役社長の長男・一晃氏、長女の悠衣氏も馬主免許を取得。次男の鴻太氏はプロバスケットボール「京都ハンナリーズ」の代表取締役社長。