ドイツより軽い重量で走れるアルリファー有力

2024年10月4日 05:05

 【競馬人生劇場・平松さとし】いよいよ今週末、凱旋門賞(G1)が行われる。フランスのパリロンシャン競馬場を舞台にしたヨーロッパ最大のレースは、日本のホースマンにとっても大きな目標となっている。

 1969年のスピードシンボリを皮切りに、幾多の日本の名馬が挑んできたが、毎回、ヨーロッパの2400メートル路線における厚く高い壁にはね返されてきた。そのたび、言われるのが、時計が速い日本とフランスの馬場との差異。しかし、実際のところ2分24秒台の高速決着となった2011年に挑戦したヒルノダムールとナカヤマフェスタは10、11着に沈んだし、シャンティイ競馬場での代替開催とはいえ2分23秒台で決まった16年に走ったマカヒキも14着に敗れている。一方、日本馬が2着に健闘した4回は全て道悪馬場での開催時だった。

 また、直線コースとはいえ同日、同質の馬場で行われるアベイユドロンシャン賞(G1)をアグネスワールドが制した(99年)り、やはり同日のフォレ賞(G1)でエントシャイデンが2年連続で3着(21、22年)に健闘したりと、必ずしも日本馬に合わない馬場とは言えない結果もある。

 例えば、パリロンシャン競馬場と同じくらい日本とは馬場が違うと言われるアスコット競馬場でも、米国の馬やオーストラリアの馬、香港の馬までもが多数勝利している。日本馬の、それも凱旋門賞だけを見ていては物事の本質は見えてこない。必ずしも馬場だけが敗因ではないだろう。

 そんな中、近年、凱旋門賞で好走した馬の傾向として注目されているのが、ドイツからの転戦馬だ。3年前の勝ち馬トルカータータッソはドイツ調教馬だし、一昨年の勝者アルピニスタは英国馬ながらやはりドイツで何戦も勝っていた。共通しているのはドイツでは重量を背負って競馬をしている点。つまりドイツで勝利した時よりも軽い重量で凱旋門賞に臨んでいたのだ。

 今年、武豊騎手が手綱を取るアルリファーも同様だ。前走のベルリン大賞(G1)は60キロを背負って5馬身差勝ち。59・5キロで臨める今回、レジェンド悲願の初制覇があっても不思議ではない。いや、日本馬シンエンペラーがその前に立ちはだかるのかもしれないが。 (フリーライター)

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