【秋華賞】チェルヴィニア牝馬2冠!直線で突き抜けた、ルメール絶賛「レジェンドホースになる」

2024年10月14日 04:30

<秋華賞>レースを制したチェルヴィニア(撮影・中辻 颯太)

 3歳牝馬の3冠ロード最終戦「第29回秋華賞」が13日、京都競馬場で行われ、1番人気に支持されたチェルヴィニアが中団から力強く抜け出して快勝した。オークスに続く、牝馬2冠を達成。鞍上のクリストフ・ルメール(45)は18年アーモンドアイ以来となる当レース3勝目、今年のJRA・G1はフェブラリーSからスプリンターズSまで全て異なる騎手が勝利していたが、名手がこの流れを止めた。また、人気を分け合った桜花賞馬ステレンボッシュは3着に敗れた。

 特殊な流れも名手のエスコートで難なく切り抜けた。鞍上・ルメールに導かれたチェルヴィニアは持ったままの手応えで直線へ。残り200メートル、右ステッキでゴーサインを出すと一気に抜け出し、1馬身3/4差をつけて快勝した。半馬身差で頂点に立ったオークスから5カ月間で成長した姿をアピール。「オークスを勝ってG1でリピートがしたかった。凄くいい競馬ができた」と強さに酔いしれた。

 大方の予想通り、大外15番からセキトバイーストが迷わずハナを主張。2番手を大きく引き離して向正面へ。ペースを緩めることなく刻んだラップは前半1000メートル通過57秒1。チェルヴィニアは8番手でじっくり脚をためた。ハイペースの縦長の展開でも、馬上のルメールに焦りはない。「内回りなのでポジションを大事にした。好きなポジションを取れたし(道中は)自分のリズムで走れた」

 京都在住のルメールにとって淀は庭同然のホームコース。競馬場が新装された23年以降に行われたG18レース中4レースを制した。仕掛けどころは熟知している。直線は手応え通りの末脚を発揮。「空いたスペースから凄くいい反応で伸びてくれてうれしかったね」とパートナーを称えた。

 オークスから直行ローテでの勝利は18年以降の7回で6頭目。夏場は福島県のノーザンファーム天栄でリフレッシュし、一回り成長して帰って来た。この日は前走から8キロ増の490キロとデビュー以来、最高馬体重。木村師は「背が伸びたし(馬体の)肉付きが良くなっていました。春はいいコンディションに持っていくことができなかったし秋は健康体にすることを目的にしていた。いい状態で出走することができました」と安どの表情を浮かべる。
(夏を越えて成長/) 国内外でG16連勝を飾った木村厩舎の先輩イクイノックスを連想させるほどの成長力。その主戦を務めたルメールは「レジェンドホースになることを期待している」とかつてのパートナーの面影をだぶらせ、木村師も「改めて凄い馬だなと。まだまだ可能性を秘めていると思います」とさらなる飛躍に期待を寄せた。

 2冠をつかみ取り、同世代の牝馬に敵はいない。今後は年長馬との対戦が待っている。同馬を所有するサンデーレーシングの吉田俊介代表は「強い競馬をしてくれたし、さらに強くなれると思うので古馬に挑戦したい。ジャパンC(11月24日、東京)に行きたい」と今後の展望を語った。秋華賞VからジャパンCに挑んだ12年ジェンティルドンナ、18年アーモンドアイは年長馬相手でもG1制覇。チェルヴィニアもここから名牝への道を歩んでいく。

 ◆チェルヴィニア 父ハービンジャー 母チェッキーノ(母の父キングカメハメハ)21年2月3日生まれ 牝3歳 美浦・木村哲也厩舎所属 馬主・サンデーレーシング 生産者・北海道安平町のノーザンファーム 戦績6戦4勝(重賞3勝目) 総獲得賞金3億2842万4000円。馬名はマッターホルン山麓の集落の名。

 《サンデーレーシング3連覇》サンデーレーシングは22年スタニングローズ、23年リバティアイランドに続いて3連覇を達成。通算5勝目で自身の馬主歴代最多勝利記録を更新した。吉田俊介代表は「ビックリするぐらい強かった。桜花賞やオークスに比べて、今回は時間も含めてしっかり調整できたし、さらに強くなった気がする。ルメール騎手も“返し馬から凄かった”と言っていた」と2冠牝馬の成長曲線に驚いていた。

 《ノーザンファームは4連覇》生産牧場のノーザンファームは21年アカイトリノムスメから4連覇。通算13勝目となった。中島文彦ゼネラルマネジャーは「強かったです」とにっこり。母チェッキーノは16年オークス2着馬。23年新潟記念を勝った半兄ノッキングポイントに続く2頭目の産駒がチェルヴィニアで、「改めて凄いお母さんですね」と感心しきりだった。1歳はエピファネイアの牡馬、当歳はエフフォーリアの牡馬を出産。現在はイクイノックスの子を受胎中。

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