ルメールを笑顔にさせたインドでの“再会”
2025年2月7日 05:05 【競馬人生劇場・平松さとし】
既報の通り先週末の2月1、2日、C・ルメール騎手がインドで騎乗した。4レースに乗って最高は3着。同国最大のレースといわれるインドダービー(印G1)は16頭立ての14着に敗れたが、その表情は決して暗くなかった。「ダービーではインドオークスの勝ち馬サイキックスターに乗せてもらいました。レース3日前には調教にも乗り、良い馬だという感触は得ました。ただ、オークスを勝った直後で疲れが残っているように感じました」
さらにスタート後にすぐコーナーにさしかかるコース形態で、16頭立ての15番という枠順もディスアドバンテージとなった。「最初のコーナーで内からぶつけられて、終始後方の外を回る位置になってしまいました」。とはいえ道中の手応えは悪くなかったというが、600メートル近い最後の直線に向いた時にはもう余力がなかったそうだ。
それでも明るい表情を崩さなかった理由を次のように語る。「インドには23年前にも来ているのですが、その時のお友達にたくさん会えました。今回、馬を用意して招待してくれたオーナーも調教師も、当時からの知り合いです」。実際、現地では会う人、会う人に握手とハグを求められていた。
そもそも23年前、インドで乗るに至った経緯も一風変わった理由があった。「僕はフランスで競馬学校には行かず、アマチュアジョッキーからプロに転向しました。当時は学校卒業生でない騎手には最初の1年間、減量の特典が与えられませんでした」。だから新人の頃からアメリカやドバイへ飛んだ。そんな流れもあり、2年目以降も何のアレルギーもなく、海外に挑戦した。インドもその一環だったのだ。「4カ月滞在して乗りました。優しくて親切な人が多かったので、最後にインドを離れる時は涙が止まりませんでした」。そんな地に久しぶりに帰り、旧友たちと再会を果たした。笑みが絶えなかったのもうなずける。 (フリーライター)