【弥生賞】ファウストラーゼン皐月切符!杉原の会心捲り「馬を信じて乗りました」
2025年3月10日 04:30 皐月賞トライアル「第62回弥生賞ディープインパクト記念」が9日、中山競馬場で行われ、7番人気ファウストラーゼンが捲り一撃で重賞初制覇。鞍上の杉原誠人(32)、管理する西村真幸師(49)ともに同レース初挑戦初Vとなった。現3歳世代が初年度産駒となる父モズアスコットに初の重賞勝利をプレゼントした。2着ヴィンセンシオ、3着アロヒアリイまでが皐月賞(4月20日、中山)の優先出走権を獲得した。
ファウストラーゼンの馬上で杉原は狙っていた。同じ舞台の前走ホープフルS(3着)で見せた向正面からの大捲り。「前回がうまくいったし、今回も同じようにできればいいかなと思っていたからね。この馬を信じて、最後まで持ちこたえてくれるだろうと思いながら乗りました」。会心騎乗の杉原はゴール後、ステッキを高々と掲げ喜びを爆発させた。
前走同様、出遅れ気味のスタート。それでも杉原に焦りはなかった。「うまく出てほしい、というのは正直あったけど…。しっかり切り替えて作戦を組み立てられた」。相棒に合図を送ったのはペースが緩んだ2角過ぎ。「瞬発力勝負になるのは分が悪いと思っていた。ここにいてもしょうがないと思って積極的に動いていった」。一気に仕掛け先頭で3角へ。今度は抜かせない。直線で迫るヴィンセンシオを、驚異の粘り腰で首差抑え切った。前走17番人気での激走がフロックではないことを、人馬で証明してみせた。
弥生賞初出走初Vとなった西村師は「“出が悪かったら思い切って行け”と杉原には言っていたからね」と好騎乗に満足顔。続けて「一つの選択肢だけだとレースではうまくいかないことがある。杉原は作戦を立てる上で“こうなったらこうしよう”という話がしっかりできる騎手で、複数の選択肢を持てている。頼りにしているジョッキーです」。鞍上への厚い信頼を口にした。
伝統のトライアルを制し堂々と皐月賞へ。無事ゲートインなら杉原はデビュー15年目にして初の牡馬クラシック参戦となる。「気合が入りますね。強いのがいるけど…。この馬も凄く心肺能力の高い馬で中山が合っているから。こういう流れになれば一発あるかな。楽しみです」。前走で後塵(こうじん)を拝したV最有力クロワデュノール撃破に意欲満々。低評価を覆し続けるファウストラーゼン。1カ月後の中山で再度の“下克上”をもくろむ。
◆ファウストラーゼン 父モズアスコット 母ペイシャフェリス(母の父スペシャルウィーク)22年3月23日生まれ 牡3歳 栗東・西村厩舎所属 馬主・宮崎俊也氏 生産者・北海道新ひだか町の友田牧場 戦績4戦2勝(重賞初勝利) 総獲得賞金7866万2000円 馬名の由来は人名+芝(ドイツ語)、芝の魔術師。