【高松宮記念】ナムラクレア“最高潮”坂路ラスト1F11秒7 ルメール「勝つ自信あります」
2025年3月27日 05:29 G1初制覇へ、機は熟した。「第55回高松宮記念」の追い切りが26日、東西トレセンで行われ、ナムラクレアは長谷川師を背に栗東坂路単走で弾むようなフットワーク。終始、手応えが良く、しまい鋭く伸びた。一昨年、昨年と続けて2着。今年こそ…の思いを胸に厩舎一丸で臨む。美浦Wコースではモレイラ騎乗のサトノレーヴが豪快なアクション。昨年12月の香港遠征後は英気を養い、ここ狙いの直行ローテで態勢はきっちり整った。
ナムラクレア史上最高の準備が整った。長谷川師自ら騎乗した坂路での最終追い。せかされず、優雅でマイペースの登坂に見えたが、自動計測器の表示は4F52秒8~1F11秒7の好時計。師は「前半は馬のリズムを確認しながら体の動きも良かった。最後は気持ち良く伸びやかに走らせることを心がけたが、時計も良かったし内容も良かった」と仕上がりに胸を張った。
21年小倉2歳Sから24年阪神Cまで4年連続の重賞5勝。才能にあふれた乙女は淑女になっても衰えるどころか成長の歩みを止めていない。「ここまでのレベルの馬になるとは思っていなかったというのが正直な思い。自分の競馬人生でも特別な存在。こんな馬なかなかいない。G1を勝たせないといけない」。厩舎の大黒柱への思いを問われると、指揮官の言葉に自然と熱がこもる。
集大成の大一番へ、人事は尽くした。2年連続の2着はともに年2戦目が高松宮記念。今年は昨年暮れの阪神Cから約3カ月の間隔を空けた。クレアはこれまで3~4カ月の間隔で使ったケースは4戦3勝、2着1回と完璧な戦績。「昨年と臨戦過程も違うし、そういう意味では今年の方が満足いく状態」と三度目の正直に自信を見せる。
前走から手綱を握るG1請負人ルメールからは「勝つ自信があります」とお決まりのフレーズが飛び出した。「これまでクレアのレースをよく見ていたし、最後の脚が素晴らしいことはよく知っていた。前走は直線で凄い瞬発力。スピードが凄かった。(自身未勝利の)高松宮記念を勝つベストチャンス。ぜひ勝ちたい」。JRA・G1完全制覇まであと3競走と迫る達人の確信めいた言葉が何とも心強い。
長谷川師は「年々、応援してくれる方が増えているのを感じる」と話す。不利を受けても、雨泥にまみれても、師が一番の武器に挙げる「折れないメンタル」で諦めない健気(けなげ)な姿に多くの人が魅了されてきた。レース当日はクレアの誕生日。彼女が報われるシーンを心待ちにしているファンは多い。