【大阪杯】ベラジオオペラ100点!毛ヅヤ最高“偽りなき輝き”まるでピンクゴールド

2025年4月1日 05:30

<大阪杯・馬体診断>“ピンクゴールド”の輝きを放つベラジオオペラの馬体

 驚異の合金ホースだ。鈴木康弘元調教師(80)がG1有力候補の馬体を診断する「達眼」。「第69回大阪杯」(6日、阪神)では2連覇が懸かるベラジオオペラに唯一、満点を付けた。達眼が捉えたのはピンクゴールドに輝く鹿毛の被毛。毛ヅヤにまつわるウソみたいな本当の話をお届けする。

 サラブレッドはサラ(thorough=厳格な)+ブレッド(bred=繁殖)の語義通り、厳格に管理された血統を意味します。両親ともサラブレッドでなければサラブレッドとは認められない。ただし、例外もありました。血統書の紛失などで出自が不確かな「サラ系」でも、8代連続でサラブレッドを掛け合わせればサラブレッドと認められた。サラブレッドの競馬にも出走できた。大戦下のダービー馬カイソウも母系にトロッター種が入ったサラ系といわれます。

 ベラジオオペラには世界に3500頭しかいない希少種アハルテケの血が入っている。そんな噂が立ったのは数週前のこと。アハルテケは美しい金色の被毛から“黄金の馬”と呼ばれる中央アジア・トルクメニスタン原産馬です。ベラジオオペラの馬体写真を見ると、鹿毛馬なのに黄金色に輝いている。まさか…。

 どの世代でアハルテケの血が入ったかは分かりませんが、この牝系は4号族と呼ばれる世界の主流。噂が事実なら競馬界を揺るがすスキャンダルです。JRAを通じて世界の血統書を統括するISBCに内々に調査を求めたところ、メールで調査結果が届きました。その英文を直訳すると「アハルテケの血が入っていないと断定できる根拠は見つかりません」。噂は事実…。

 今日は世界中でウソの花が咲くエープリルフール。こんな作り話も許されますよね。でも、ベラジオオペラの鹿毛は本当に黄金色に輝いています。純金と銅を混ぜ合わせた合金ピンクゴールドを思わせる、深い赤みを帯びた金色の毛ヅヤ。新陳代謝に優れた体質とピークを迎えた体調が混じり合ってピンクゴールドの輝きを得るのでしょう。冬毛が抜け切らない春先にこれほど被毛を輝かせる馬はいない。いや、サラブレッドとは別の軽種馬には存在します。アハルテケです。

 一変したのは毛ヅヤだけはありません。昨年の大阪杯時に比べて筋肉量が明らかに増えた。特に腰と尻の筋肉が凄い。2400メートル以上の距離を走るには邪魔になるほどのボリューム。昨年以上に2000メートル仕様の馬体になりました。アハルテケ同様、アバラの張りが不足しているので腹周りは細く映りますが、頼もしいトモ(後肢)が寂しい腹を補っています。

 アハルテケを想起する合金ピンクゴールドの輝き。エープリルフールのウソから出た実(まこと)の毛ヅヤです。(NHK解説者)

 ◇鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の80歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94~04年に日本調教師会会長。JRA通算795勝。重賞27勝。19年春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。

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