【ドバイWC】勝てば32億円超!世界のYAHAGI師とつくるフォーエバーヤング“新伝説”

2025年4月1日 05:30

メイダンのダートコースを軽快に駆け抜けるフォーエバーヤング(C)Dubai Racing Club

 世界のYAHAGIが新たな伝説をつくる――。日本馬25頭が遠征する「ドバイワールドカップデー」が現地5日、アラブ首長国連邦のメイダン競馬場で行われる。注目はメイン「ドバイワールドカップ」に出走するフォーエバーヤング(牡4=矢作)。今年初戦のサウジカップを制し、レーティングで世界一の評価を受けた。1着賞金696万ドル(10億9289万520円、JRAレート1ドル=約157・0245円)の当レースも勝てば獲得賞金は32億円超となり、日本競馬歴代1位となる。管理する矢作芳人師(64)が、大一番への意気込みを語った。

 伝説の原点にフォーエバーヤングが帰ってきた。昨春、ケンタッキーダービー切符を手にしたドバイは同馬の血統背景からも大きな意味を持つ土地。矢作師は「父リアルスティールがドバイターフ(16年)を勝ってくれて、そこが全ての始まり。あの勝利がなければフォーエバーヤングは生まれなかった。矢作厩舎とノーザンファームの結晶。誇りに思っている」と感慨深げに述懐する。

 22年セレクトセールで見初められ、藤田晋オーナーが1億780万円(税込み)で落札。当初、父同様に主戦場は芝と見込まれていたが、調教を進める中で矢作厩舎の番頭格である岡勇策助手に砂適性を見いだされた。大物馬主の高額馬となれば、まずは芝の中距離からが定石。しかし、師は「スタッフを信頼しているし、ましてやジャッジに定評のある岡の進言。マルシュロレーヌ(21年BCディスタフ制覇)のダート転向も彼が言ってきたので」とダートの新馬戦を選択した。

 世界最高1着賞金15億円のサウジCを制し、今年のロンジンワールドベストレースホースランキングでは世界一の128ポンド。ドバイワールドCの海外ブックメーカーでは単勝オッズ1倍台に推されている。英断だったことは現況からも明白だが、「これだけうまくいっているからといって、今でも絶対にダート馬とも思っていない。“ほら!俺が正しかっただろう”とならないのが矢作厩舎。岡でさえ“芝を使っていたら(クラシック)3冠獲ってるんじゃないですか”と言っている(笑い)」。あらゆる可能性を探る思考の柔軟性が世界のYAHAGIの強さ。「余談だけど、オーナーも自分も1回は芝で見たいと思っている」。ロマンも忘れない。

 走るたびに衝撃度を塗り替える進化の裏にも矢作流がある。モットーは「可愛い子には旅をさせよ」。脚元に不安がない同馬は3歳2月から海外遠征しサウジアラビア、UAE、米国で計5戦。「3歳の早い時期から海外に出たことが経験として生きていると思う。たとえば、米国に行った1回目(24年ケンタッキーダービー3着)は本当に輸送で疲れていた」。最初から完全無欠だったわけではない。慣れない環境に身を置くことで心を鍛え上げてきた。

 サウジC→ドバイワールドC連勝なら史上初。「想像以上にロマンチックウォリアーが強かった。本当に死力を尽くした戦いだった」と振り返る前走からの調整は困難を極める。「サウジがほぼ100%。簡単ではないが、同じ状態に持っていけさえすれば勝てると思っている。疲れをしっかり取るということ。それしかない。とにかくそこ(連勝)にチャレンジしたい」と力が入る。

 ある日の厩舎ミーティング、指揮官はスタッフにこう、ゲキを飛ばした。「チーム矢作は世界の競馬では中心的存在として注目されている」。日本の馬は、強い――。その信念を証明する決戦が今週末に迫った。日本馬が勝てば11年ヴィクトワールピサ、23年ウシュバテソーロに続く3頭目。10億円超の1着賞金を手にすれば、獲得賞金は32億8639万7120円となり、日本歴代トップに。「ドバイは圧倒的なアウェー感がある。でも、それを乗り越えてこそだよ」。中東の夜空に再び、日の丸を輝かせる。

 ≪“世界のSAKAI”頼もしく成長≫矢作師が“世界で活躍できる騎手に”という目標を共有する弟子の坂井瑠星(27)に求めるハードルは高い。だが、ロマンチックウォリアーを差し返したサウジCを振り返ると、「瑠星は凄いよな。本当に諦めていなかった。絶対負けない、差せると思っていた。自分は負けたと思った瞬間があった」と表情が緩む。レース直前には主催者に申請していたリードポニーが現れないアクシデントもあったが、「瑠星も海外に慣れているから、“いないなら勝手に行こう”とスッと返し馬に入れた」。手塩にかけた弟子は頼もしいステーブルジョッキーに成長している。

 ≪ロマンチックは40億円≫毎年フランスギャロが年始に公式レートを発表し、JRAはそれを基に海外のレースの賞金を換算する(今年は1ドル=約157.0245円)。フォーエバーヤングの獲得賞金は21億9350万6600円で日本馬歴代3位。トップは今回対戦する25億6362万5300円のウシュバテソーロ。“賞金王争い”という意味でも注目の対決となる。獲得賞金の世界一はドバイターフに出走する香港馬ロマンチックウォリアー(セン7=シャム)で約40億円稼いでいる。

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2025年4月1日のニュース