【北九州記念】ヨシノイースター 昨年2着の雪辱へ!蹄の病気も顔面のケガも乗り越えた7歳
2025年7月3日 05:30 サマースプリントシリーズ第2戦「第60回北九州記念」(6日、小倉)の最終追い切りが2日、栗東トレセンで行われた。昨年の2着馬ヨシノイースターは坂路で豪快な動き。トップハンデ58キロを背負うが、前年の雪辱を果たすに十分な好仕上がりだ。芝では8戦して連対を外していない安定株ロードフォアエースも酷暑に負けず、坂路で迫力抜群のデモ走。“ナツコク”最初の重賞を制するのはどの馬か。
7歳を迎えても活気あふれるヨシノイースターは、坂路を4F52秒6~1F11秒7の好時計で単騎駆け。予定通りのラップを刻み、見守った中尾師も「しまいの反応を見てもらったが動きは良かった」と満足げだ。若々しい筋骨隆々の体つきはトレセンでもひと目で分かるほどで「休んでいる時期が長かったからね」と若さの秘訣(ひけつ)を分析した。
3~4歳シーズンに蟻洞(ぎどう=蹄の疾病)で約1年の休養。復帰後は地力でオープン入りを果たしたが、後が続かず。転機は昨年2月の北九州短距離Sだった。新コンビを組んだ丸山とゲート練習を積むと、課題のスタート能力が大きく向上。先行力という大きな武器を手に入れ、同レースでオープン初勝利。続くオーシャンS4着、北九州記念2着と重賞での着順も右肩上がりに上昇した。
さらなる高みを目指した秋。初戦のセントウルSで思わぬアクシデントに襲われた。ゲートで外傷を負い、しかもレース中に落鉄して再び蹄を痛めた。担当の五東厩務員は「バランスを崩してゲートでぶつけたのか、負けたボクサーみたいな顔で戻ってきた。瞼(まぶた)を切って血だらけ。パンパンに腫れていた。爪の状態も良くなかった」と当時を振り返る。顔の傷はその日に縫合。蹄の回復を待って今春に復帰を果たした。良化途上だった復帰戦(米子城S)で4着に奮闘し、トップハンデを背負った春雷Sは好発から押し切る横綱相撲。5年の付き合いとなる介添人も「ゲートでそういうことがあったので後遺症を心配したけど全然大丈夫だった」と不屈の精神力を称える。
サラブレッドの第二の心臓とも言われる蹄の大患も、レースでのアクシデントも乗り越えた堅忍不抜の7歳馬。中尾師は「衰えは全く感じないよ」と穏やかにほほ笑む。逆境にくじけないベテランスプリンターには、酷量ともいえるトップハンデ58キロを克服しての重賞初勝利が何とも似つかわしい。 (田井 秀一)