【セレクトセール】新種牡馬イクイノックス産駒 歴代3位タイ5億8000万円!父キタサンに並ぶ存在に
2025年7月16日 05:30 誰もが“世界一の血”を求めた。日本最大級の競走馬セール「セレクトセール2025」が15日、北海道苫小牧市のノーザンホースパークで行われた。2日目、当歳セリの主役はG1・6連勝で世界ランク1位に輝いた新種牡馬イクイノックスの産駒たち。歴代3位タイとなる5億8000万円の値がついた「ミッドナイトビズーの2025」を筆頭に、23頭が高値で落札された。同セールの売り上げは2日間合計で史上最高の327億円となった。(落札額は全て税抜き)
黒っぽい毛色、額の流星、スラリとした手脚…。怪物イクイノックスがそのまま子馬時代に戻ったような産駒が登場するたび、バイヤーたちから熱視線が注がれた。その様子に目を細めていたのが、かつてイクイノックスを手がけた木村師だ。「多くのオーナーさんに評価していただき、感動している。(現役時は)120%で接したつもりですが、報われた気持ちがします」と感慨深げに話した。
トップで登場したのは同産駒で最初に誕生した「キャンプロックの2025」。仏重賞勝ちの母を持つ素質馬は、金子真人氏が2億3000万円で手に入れた。慧眼(けいがん)の腕利きバイヤーが最初に手を挙げたことで、会場内の熱がじんわりと上がる。サウジC優勝の母を持つ「ミッドナイトビズーの2025」は激しいコールの応酬の末、ネブラスカレーシングがセレクトセール史上3位タイの5億8000万円で落札。母が米G1・2勝の「ゴーイングトゥベガスの2025」は4億5000万円の値をつけた。
関係者が口をそろえるのはその遺伝力の強さ。柔らかみのある筋肉、長い手脚は、G1・6連勝のままターフを去った父の面影が色濃く残る。社台スタリオンステーションの徳武英介場長は「イクイノックスらしさが前面に出ている子が多い。マッチョでムキムキというよりは軽さがある感じ。本当に素晴らしい産駒ばかりですよ」と笑顔。この日上場された24頭中23頭が売却され、平均落札額は1億5500万円。市場の期待がストレートに表れた。
今後、種牡馬として比較されるのは自身の父で、今年のダービー馬クロワデュノールなどを輩出したキタサンブラック。2頭の違いについて、徳武氏は「キタサンブラックも軽いが、イクイノックスはさらに手脚の軽さがあるイメージ」と語る。それでも2頭に共通するのは現代競馬において不可欠な要素。「ダービーを目指すなら、速い時計に対応しつつ、故障をせず、早くから賞金を積む必要がある」と同氏。レースレベルが年々上がり、始動が早まるクラシック戦線。両産駒はその過酷な道のりを耐え得る下地を備えている。
1日目はキタサンブラック、2日目はイクイノックス産駒が主役を務めた今年のセレクトセール。木村師は「キタサンブラック産駒とはまた歩きの感じは違いますね。種牡馬としても父に食らい付いていけるような存在になってほしい」と願いを語る。かつて覇を競ったサンデーサイレンス&ディープインパクトのように、これからの競馬シーンはこの父子が席巻しそうだ。
▼現役時のイクイノックスを所有シルクレーシング米本昌史代表 フレームを含めて特徴を評価していただいた。キタサンブラックと親子で評価していただいてうれしいですね。
《キタサン産駒は負けじと5億》キタサンブラック産駒が2日目も存在感を示した。上場13頭で2頭が主取り、11頭が計18億6600万円で落札され、平均落札額はイクイノックス産駒を上回る1億6964万円。上場番号407番「シンプリーグロリアスの2025」(牡)はセレクトセール歴代7位の高額価格となる5億円で坂口直大氏が落札した。祖母ミスティフォーミーは10年に欧州最優秀2歳牝馬に輝き、翌年は愛1000ギニー制覇。預託予定の斎藤誠師は「下見をしていた時から非常にいい馬でした。バランスが良くて上品。王道の芝中長距離路線で活躍してほしいですね」と期待を寄せた。