【新潟記念】3歳馬エネルジコ史上初の無敗Vへ!Wコースで併せ馬、G1級の素質開花
2025年8月28日 05:30 夏の新潟を締めくくるサマー2000シリーズの最終戦「第61回新潟記念」の追い切りが27日、東西トレセンで行われ、3戦3勝で挑む3歳馬エネルジコが軽快な走りを披露。青葉賞を勝ちながら疲労でダービーを自重。仕切り直しの休み明け初戦で、レース史上初となる無敗Vに挑む。
辛抱する木に花が咲くという。無敗で青葉賞を勝ちながら断腸の思いでダービーを自重したエネルジコ。辛抱した成果は最終追い切りの動きにも表れていた。ダービーシーズンからの休養でエネルギーを満タンに蓄えた黒鹿毛がWコースを躍動する。開花直前のつぼみのように膨らんだトモ(後肢)の筋肉が激しく収縮する。3馬身先行したグランジョルノ(3歳3勝クラス)の内から余力たっぷりに併入した。
「まだ頼りない感じですが、春に比べれば多少は良くなっています。背も少し伸びました。3歳夏の成長でしょうね」。高柳瑞師は口火を切ると、こう続けた。「無理してダービーに行かなくて良かった。ダメージを引きずるタイプですから。もし無理していたら、その後はどうなっていたか」
歩様が悪化したのは青葉賞の1週後。短期放牧先のノーザンファーム天栄(福島県)で検査を受けたところ、骨や腱に異常はなく、筋肉疲労が原因とみられた。ダービーの夢を封印して完全休養。名は体を表すというが、辛抱のかいあってエネルジコ(イタリア語で「力強い」)の馬名にふさわしい体つきになった。
「普段は硬い走りをする馬。調教ではスターズオンアースみたいな凄さは感じませんが、レースに行くとエンジンが凄くいいですよね」と、かつて管理した2冠牝馬を引き合いに出す同師。デビュー3戦全て最速の上がりで勝ち進んだ。青葉賞ではラスト2F11秒3~11秒2の高速ラップを大外からねじ伏せるような差し切り。エンジンの凄みを見せつけた。「調教の動きも頼りないし、大丈夫かな…と思いながら送り出したのにこんなパフォーマンスができるなんて…。今まで扱ったことがないタイプです」と驚きの声を上げた同師。初コンビを組んだルメールも「手前(軸脚)をしきりに替えながら勝ってくれた。子供の分だけ伸びしろも大きい」と素質を絶賛した。
21年に急死したドゥラメンテのラストクロップ(最終世代の産駒)。父譲りの胴長ボディーに積んだ大排気量のエンジンに、3歳夏の成長力が加われば…。辛抱する木に花が咲く。G1級の素質が開花する。