【神戸新聞杯】エリキング鬼脚V!菊花賞へ弾み 川田は3週連続重賞制覇でJRA重賞150勝目
2025年9月22日 05:30 菊花賞トライアル「第73回神戸新聞杯」が21日、阪神競馬場で行われ、2番人気エリキングが豪快に差し切り、昨年11月京都2歳S以来の重賞2勝目を飾った。勝利に導いた川田将雅(39)は史上6人目、現役4人目となるJRA重賞150勝を達成。2着ショウヘイ、3着ジョバンニまで菊花賞(10月26日、京都)の優先出走権が与えられた。中山競馬場で行われた「第71回オールカマー」は1番人気レガレイラが中団からねじ伏せ、昨年の有馬記念以来のV。2着に兄ドゥラドーレスが入り、84年のグレード制導入以降では史上初となるJRA平地重賞でのきょうだいワンツーとなった。
目が覚める末脚だった。直線に入った時点で後方4番手にいたエリキング。馬上で激しく右ステッキを振る川田のアクションに応えてグングン加速していく。馬群の外から力強く急坂を駆け上がると、早め先頭で押し切りを図った1番人気ショウヘイをゴール前できっちり捉えた。鞍上は先々週のセントウルS(カンチェンジュンガ)、先週のローズS(カムニャック)に続き、阪神で3週連続の重賞制覇。この勝利はJRA重賞通算150勝目のメモリアルVとなった。
デビューから6戦連続でコンビを組む川田は「春より一つ体が成長して進みも出てきましたけど、菊花賞のためにあえてゆっくりと。馬のリズムを大事にしました。現状のつくりでこれほど動けるのかと思うぐらい動いてくれたので、無事に次に向かえれば」と相棒のパフォーマンスを称えた。
横山典のボンドロアが逃げ、武豊のアルマデオロが2番手。ベテランの名手が後続を引き連れる展開で前半1000メートル通過は62秒6とゆったりした流れ。エリキングは焦らず、7番手でじっくり進めた。究極の切れ味が求められた直線は上がり3F最速32秒3で差し切りV。神戸新聞杯では19年に1着サートゥルナーリア、3着ワールドプレミア(次走で菊花賞V)がマークしたタイムと同じ史上最速の上がり3Fだった。
ダービー(5着)以来だった秋初戦の馬体重は10キロ増でキャリア最高の510キロ。本番を見据えた仕上げで勝ち切ったのは大きい。中内田師は馬体について「太いです」と即答し、使った上積みに大きな期待を寄せる。ひと夏を越して良化した部分は今回のレース運びを見ても分かる通り、精神面の安定。「年齢とともに、少しずつ心身ともに成長していると思います」と着実に進化し続けている。
前哨戦を勝ち切り、次は迷わず菊花賞(10月26日、京都)へ。指揮官は「(距離は)やってみないと分からないところもあるけど、リズム良く走ってくれた今回の競馬が次につながれば。いい形で本番に向かえます」と胸を張った。春2冠は皐月賞が骨折明けで11着、ダービーがスタートでつまずいて5着と、いずれも不完全燃焼。デビュー時からクラシック候補と注目されていた逸材が、ラスト1冠を獲りにいく。
◆エリキング 父キズナ 母ヤングスター(母の父ハイシャパラル)22年2月12日生まれ 牡3歳 栗東・中内田厩舎所属 馬主・藤田晋氏 生産者・北海道安平町のノーザンファーム 戦績6戦4勝(重賞2勝目) 総獲得賞金1億4134万8000円。馬名の由来は人名より+王。