【スプリンターズS】香港からの刺客ラッキースワイネス 軽快1F12秒7「この芝にフィットしてた」

2025年9月25日 05:30

<スプリンターズS外国馬追い切り>中山競馬場の芝コースでリョンを背に追い切るラッキースワイネス(撮影・郡司 修)

 秋のG1開幕戦を飾るのは香港屈指の快速馬だ。「第59回スプリンターズS」(28日、中山)の最終追い切りが24日、同競馬場や美浦、栗東トレセンで行われた。ラッキースワイネスが中山の芝にフィットした走りを披露。香港馬7頭目となるJRA・G1制覇へ向けて鞍上のカーチュン・リョン(37=香港)、カーリョン・マン調教師(68)ともに手応えを膨らませた。

 540キロ超の青鹿毛が喜々として中山の急坂を駆け上がってくる。富士山観光に心躍らせるインバウンド(訪日観光客)のような軽やかな脚取り。ラッキースワイネス、香港表記で「金鑽貴人」(幸運をもたらす金の砂)と命名された7歳セン馬は芝の感触を楽しむようにしなやかに弾んだ。

 前々走から主戦に起用されているリョンが手綱を抑えたまま単走でラスト1F12秒7をマーク。「この芝にフィットしていました」と、リョンは馬上の感触をマン調教師に伝えた。「芝が短くて走りやすかった。坂のある短い直線はハッピーバレー(香港)に似ているし、このコースを馬自身がとても気に入ったみたい」。デビュー3連勝を飾った自国の競馬場にも劣らないコース適性を感じ取った。

 デビュー28戦目にして初の海外遠征。「見知らぬ環境でも全然緊張していない。好奇心が強い馬なので初めて目にする風景に興味津々で物見しながら走っていた。体調は凄くいい。動きにも満足できた」。香港からのインバウンドが観光を楽しむような脚取りをリョンはこう説明した。

 香港屈指のスプリンター。5歳時には1200~1400メートルのG1を4勝、最優秀短距離馬にも選ばれた。6歳春に左前肢を骨折して1年休養。今春以降の復帰3戦は6、4、2着に終わったが、マン師は復活の手応えをつかんでいる。「前々走(61キロのトップハンデで4着)時には状態が良くなっていたけど、来日してさらに調子を上げていると感じた」。16日の来日時に10キロ近く減った馬体も調教を重ね徐々に回復。22日に検疫先のJRA競馬学校(千葉県白井市)から中山へ移動後、調教を強化できたことも陣営の自信につながっている。

 「前走で初着用したバイザー(ブリンカーの一種で正面以外の視界をさえぎる矯正用馬具)は凄い効き目。集中力が増していた。今回も着ける予定です」と明かしたリョン。昨春の初来日時は高松宮記念で香港馬ビクターザウィナーに騎乗し3着に逃げ粘ったが、狙うはもちろん馬名通りの金のタイトルだ。

 ≪7日ハンデ戦で始動2着 完全復活へ手応え≫ラッキースワイネスは香港競馬シーズン開幕初日の7日にハンデ戦の香港特区行政長官盃で始動。今年のレーティング126ポンドで最新の世界ランク5位タイに入っているカーインライジングがあっさりハンデ61キロをはね返し、オーストラリアの高額決戦ジ・エベレスト(10月18日、ランドウィック芝1200メートル)に弾みをつけた。現役最強スプリンターにはかなわなかったがラッキースワイネス自身は3着以下より重いハンデ57キロを背負い、2馬身1/4差2着。格好は付けた。休み明けをひと叩きし、いい流れで来ている。

 ▽馬名由来 ラッキースワイネスは香港語(広東語の方言)で「金鑽貴人」(幸運をもたらす金の砂)と表記されている。「金鑽」とは金の砂、砂金の意味。「貴人」とはラッキー(幸運)をもたらす存在とされる東洋占術の用語。英語表記では父親の名スワイネスを組み合わせた。

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