【秋華賞】エンブロイダリー2冠! ルメールが完璧押し切りで史上初2度目の連覇「今回は自信あった」
2025年10月20日 05:30 牝馬3冠最終戦「第30回秋華賞」は19日、京都競馬場で行われ、2番人気エンブロイダリーが早め進出で抜け出し、半馬身差で勝ち切った。前身のエリザベス女王杯を含め、桜花賞との2冠制覇は3冠馬を除くと07年ダイワスカーレット以来、18年ぶり6頭目。ルメールは史上初となる当レース2度目の連覇。1番人気に支持されたオークス馬カムニャックはしまいの伸びを欠き、16着に敗れた。
残り200メートルで一気にエンジンに火がついた。馬上でステッキを振るルメールの激しいアクションに応えたエンブロイダリーが逃げ粘るエリカエクスプレスとの差を1完歩ごとに詰める。持ち前の負けん気の強さで最後はグイッと半馬身、前に出た。堂々と先頭でゴールを駆け抜けて、2冠牝馬に輝いたパートナーの馬上で鞍上はさらりとガッツポーズ。「本当にうれしい。オークス(9着)は距離が長くて残念だったけど、今回は勝つ自信があった。凄い馬。2冠を獲れた。またG1レベルでいい結果を出せると思います。おおきに!」と喜びを口にした。
五分のタイミングでゲートを出ると同馬の特徴である完歩の大きさを最大限に生かすため、馬群の外に持ち出した。1、2角を6番手で入り、ペースが落ち着いた向正面で2番手まで押し上げる。春先より落ち着きが出たことで道中の自在性が増し、レース運びの幅が広がった。「前半はいいリズムで運んで、向正面でペースが遅くなったのでポジションを上げた。2番手でリラックスして、冷静に走れた」。中盤以降は絶妙なラップを刻み続けた武豊騎乗の快速馬エリカエクスプレスを徹底マーク。直線は残り200メートルまでなかなか差が縮まらなかったがギアが入ると最後はキッチリ捉えた。「直線はエンジンがかかるのに少し時間がかかって心配したけど、ラスト200メートルは凄くいい脚を使ってくれたので勝てると思った」と満足げに振り返る。
ルメールは昨年チェルヴィニアに続く連覇で、17&18年を合わせて2度目の連覇は史上初となった。1冠目の桜花賞はオーストラリアに遠征していたローシャムパーク(クイーンエリザベスS6着)に騎乗したため、代打でモレイラが手綱を取った。「桜花賞の時は自分が日本に居なくて乗れなかった。オークスは距離が長くていい結果を出せなかったので、今回は勝ちたかった」と熱い思いで挑んだ3冠最終戦。同馬とのコンビで初めてG1タイトルを手にした。
18年朝日杯FS、19年NHKマイルC、香港マイルとマイルG1を3勝したアドマイヤマーズの初年度産駒。これまで同産駒の牝馬は2000メートル以上で勝ち星がなかったが大舞台で距離の壁を乗り越えた。森一師は「デビュー当時から新種牡馬ということで、いろいろ手探りでやってきましたが(初勝利だった)2戦目の新潟で千八をこなしたので二千ぐらいまでなら大丈夫だという印象があった」と胸を張る。
世代を引っ張る存在に駆け上がった。この後は古馬との過酷な戦いが待っている。次戦は明言しなかったが、森一師は「まだ良化途上で、この先に完成されていくと思います」と期待を膨らませた。2冠牝馬が堂々と次のステージに向かう。
◆エンブロイダリー 父アドマイヤマーズ 母ロッテンマイヤー(母の父クロフネ)22年2月1日生まれ 牝3歳 美浦・森一厩舎所属 馬主・シルクレーシング 生産者・北海道安平町のノーザンファーム 戦績8戦5勝(重賞3勝目) 総獲得賞金3億3833万1000円 馬名の由来は刺しゅう(母名より連想)