「格より調子」の夏競馬 的中の鍵はパドックに 馬体チェック3つの重要ポイント
2026年6月24日 05:30 夏競馬の水曜企画は「夏色思い」。記者が夏に関するテーマを考え、深掘りする。第2回は大阪本社の新谷尚太(49)が担当。今週から舞台を福島、小倉へ移し、完全に夏モードに切り替わる。「格より調子」と言われる夏競馬。グリーンチャンネルのパドック解説者が、馬体チェックのポイントを伝授する。
前職の専門紙時代から時計班として、トレセンで調教する馬を見るのが好きだった。ただ、いくら動きが良くても週末のレース当日に力を出し切れるとは限らない。そういう意味で、直前の状態を見極められるパドックは馬券的中への大きなヒントになる。
グリーンチャンネルのパドック解説に出演させてもらって15年以上がたつ。今年3月からは無料ネットライブ配信もスタート。より注目される立場となり、今まで以上に身の引き締まる思いで臨んでいる。昨年から暑熱対策によりパドックの周回時間が短縮。素早く、その日のコンディションを見抜くことが求められるようになった。「格より調子」という格言もある夏競馬で、どんな馬を狙えばいいのか?
【(1)最も大事なのは暑さへの対応力】夏場のパドックで最も注目すべきは発汗。生理現象だが、その汗の質が重要になってくる。調子のいい馬は体全体からじわっと汗がにじみ出る。しっかり体温調整ができている証拠だ。逆にマイナスになるのは腹周りからボタボタと滴り落ちるような汗のかき方。こういう馬の多くはイレ込みによるエネルギーの消耗が激しく、レースでのスタミナ欠乏につながりやすい。付け加えて、全く汗をかいていない馬も代謝が落ちて夏バテしている可能性が高い。そのサインは目元をチェックして目の周りが黒ずんでいたり、クマができているように見える場合は、疲労の蓄積や夏負けの兆候が出ている証拠だ。
【(2)新馬戦の見極め】今月から2歳戦がスタート。新馬戦の出走馬はもちろん前回との比較ができないだけに、取捨が難しい。個人的に評価しているポイントは2つ。他馬との比較で、シャキッと歩けているかと完歩の大きさ。初戦は落ち着いているより、気合が乗りすぎているぐらいの方が力を発揮しやすい。馬体を見て腹周りがボテッとしている馬は割り引くようにしている。
パドックに設置されているミストは暑熱対策として効果が大きい。ただ、新馬にとって大敵になるケースも。敏感な性格、警戒心の強い馬はミストの霧や噴射音に反応する場面が多く見られる。イレ込みにつながることがあるので、注意して見ておきたい。
【(3)直感】これまでのパドック解説で会心の推奨馬は23年5月20日、京都1R(3歳未勝利)のヴァレンシアスノー。16頭立ての12番人気で1着、単勝9520円の高配当だった。この日が2戦目で馬体重は前走から8キロ減(434キロ)。小柄で決して見栄えする体つきではなかったが、歩いている姿に力強さを感じ、15着に敗れた初戦に比べて元気が良く、オーラが漂っていた。言葉で表現するのは難しいが、“ビビッ”と感じることもある。自分の直感を信じて、馬券を買ってみるのも楽しみ方の一つ。本格化する夏競馬のパドックで、お宝ホースを探してみてはいかがでしょうか。(新谷 尚太)
《池江氏「夏に弱い馬は汗をかかない」》ディープインパクトなど数々の名馬を育てたスポニチ本紙評論家の池江泰郎元調教師も、夏場のパドックで状態を見極めることの重要性を口にする。「人が引いていて、頭が沈んで推進力のない馬は暑さ負けしている。それに夏に弱い馬は汗をかかない。代謝が良くないから息苦しくなることがある。ゼッケンの下から泡が出るような汗をかいている方がいい」とポイントを挙げ、「今はパドックの周回時間が短縮されているけど、歩いている姿を見るのは重要だと思います」と推奨した。
暑さに弱いサラブレッド。現役時代の調教方法を聞くと「涼しい時間を狙って、早い時間から(調教を)乗るように調整していた。特に夏に弱い馬は先に乗って体調を整え、レースへ向かえるように心がけていましたね」と振り返る。近年の暑熱対策には「夏の馬房は40度近くに熱がこもることがあるけど、冷房も設置されている。パドックにはミストも設置されているし、われわれの時代に比べたら設備が整っていますね」とハード面の充実ぶりに感心していた。

