重賞挑戦77戦目 赤木ついに重賞の壁破った!
2008年7月14日 06:00 阪神競馬最終日の「第13回プロキオンS」は赤木高太郎騎手(38)が、こちらも7番人気のヴァンクルタテヤマで念願のJRA重賞タイトルをつかんだ。
待ちに待った瞬間が訪れた。公営・園田からJRAに移籍して5年目、赤木が7番人気ヴァンクルタテヤマでついにつかんだ重賞タイトル。3番手から直線抜け出し、ワイルドワンダーの追撃を1馬身抑えてゴールに飛び込むと、赤木は喜びをかみ殺して、手柄を馬に譲った。
「このメンバーで勝てたのは凄いですよね。今のダート短距離ではトップクラス。返し馬から“凄い馬だな”と思いました」
謙虚な人柄がコメントににじみ出る。地方騎手として初めて1次試験(筆記)から受験し、合格を勝ち取った苦労人だ。同じ地方競馬出身でも、中央で実績を残してからJRAに移籍した安藤勝、小牧、岩田らとは境遇が違う。これまでJRA重賞は2着6回。うっ憤がたまっていたはずだが、悲願のタイトルをつかんでも赤木は軽い口調で喜びを示した。
「勝つ時はこんなもの。初めて乗ってポンと勝てた。たまには、ね」
折しも今年は園田で交流G1、JBCスプリント(11月3日、ダート1400メートル)が開催される。出否は未定だが、故郷に錦を飾る最高の舞台。赤木は「遅咲きの典型でしょうね。ダートで走る馬に多いタイプ。これからまだまだ良くなると思う」とパートナーの成長を期待する。以前、ヴァンクルタテヤマは強い追い切りをかけると腹痛や発熱などを起こしていた。そんな虚弱体質も解消し、6歳夏の本格化を告げる重賞V。ヴァンクルとはフランス語で「打ち破る」の意味。重賞の壁を打ち破った赤木に新たな夢が広がる。
▼ヴァンクルタテヤマ 父フォーティナイナー 母フラワータテヤマ(母の父ブライアンズタイム)牡6歳 栗東・安田伊厩舎所属 馬主・辻幸雄氏 生産者・北海道新ひだか町藤沢牧場 戦績16戦6勝 総獲得賞金1億1432万8000円。重賞は初制覇。
▼赤木高太郎(あかぎ・こうたろう)1970年(昭45)1月21日、岡山県生まれの38歳。87年に兵庫・園田競馬所属としてデビュー。04年にJRA騎手試験に1次試験(筆記)から挑んで合格、中央移籍。JRA通算149勝(今年20勝)。1メートル60、50・5キロ。血液型B。