【天皇賞・春】ジャガーメイル圧巻!ラスト11秒9

2010年4月29日 06:00

<天皇賞追い切り>クレイグ・ウィリアムズ騎手を背に追い切るジャガーメイル

 無冠返上へ強烈デモだ。春の最強古馬決定戦「第141回天皇賞・春」の追い切りが28日、東西両トレセンで行われた。美浦ではG1初Vを狙うジャガーメイルが圧巻の動き。新たな鞍上に豪州の巧腕クレイグ・ウィリアムズを迎え、究極の仕上げで盾獲りをアピールした。

 降りしきる雨のカーテンを切り裂くように、ジャガーメイルが強烈なパフォーマンスを披露した。新コンビを組むウィリアムズが騎乗しての最終追いはポリトラック。トゥルーマイハート(3歳未勝利)が先導し、後ろにクォークスター(3歳オープン)を従えて3頭縦列でスタート。3角過ぎから一気にペースを上げていく。4角で2頭の間に入り、3頭並列の形になったのは一瞬。先導馬に騎乗していた菅沼助手が「並ぶ間もなく抜いていったね」と振り返ったように、2頭を置き去りにしたが、鞍上はさらにステッキを振り下ろす。最後まで目いっぱいに追われてフィニッシュ。5F61秒8、ラスト1F11秒9は、時計の出やすいポリトラックでも出色の好タイムだ。
 しびれるような手応えに、初めて騎乗したウィリアムズも興奮を隠せない。「VTRを見て、強い馬だというのは分かっていたが、思っていた以上だった。特に馬を交わしていくときの感触がパワフルで素晴らしい。完ぺきな仕上がりだ」。真剣な表情が、リップサービスではないことを表していた。菅沼助手も「しっかりやってくれと指示していた。日本語もある程度は理解してくれてコミュニケーションも取れた。馬に対する感覚が繊細。さすがは海外で活躍しているジョッキーだね」と絶賛。08、09年と2年連続で豪ヴィクトリア州リーディングに輝き、日本でも07年WSJS優勝の経験がある名手は、わずかな時間で特性をつかみきった。
 昨年は5着に敗れたが、暮れの香港ヴァーズ(3着)から、4カ月半ぶりのぶっつけ本番。「今年は京都記念をいい内容でクリアして、1回叩いた分、馬も確実に良化した。強めの調教もできているし、昨年よりもいい状態で臨めるのは間違いない」と菅沼助手は話す。重賞未勝利が信じられないくらいのポテンシャルを秘めるジャガーメイル。究極の仕上げと名手の腕が融合し、淀のG1舞台で「無冠」返上の準備は整った。

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2010年4月29日のニュース