古賀慎明師 フジサワ・イズム継承、リーディングで師を猛追
2014年6月6日 05:30 大辞泉によると「流儀」とは、技術や芸能などで人や流派に伝わっている手法、様式の意味。競馬の世界にも流儀があるとすれば、古賀慎明師(48)は“藤沢流”を誰よりも色濃く受け継いだホースマンだろう。
朝の調教現場。輪乗りからコースへ向かう管理馬1頭ずつに険しい視線を向けている。「馬をよく見て、体調や精神状態に合わせた調教、レースを用意するのが私の仕事。苦しがってないか、ダレてないか…。目つきや挙動に表れる馬の情報を知る必要がある」。古賀慎師はこう語ると、表情を緩めた。「とはいっても、先生(藤沢和師)の域にはまだまだ…。なにしろ下(地面)から観察するだけで背中の感じまで見抜いてしまう人だから」
05年に調教師免許を取得するまで藤沢和厩舎の調教助手を13年間務めた。「足を引っ張っただけ」と謙遜するが、“常勝軍団”を支えた1人だ。「決めつけない」、「成長に合わせたレース」などフジサワ・イズムを背負って開業9年目の今年はすでに13勝。関東1位の師匠を8勝差で追う。勝利数の約3分の1(4勝)を3歳新馬戦で挙げているのが弟子らしい。「体がしっかりする3歳までオーナーにデビューを待っていただいた」という。
「古賀の馬はパドックを見ても良く調教されている。凄く慎重なので出走回数は少ないが、馬を大事にする」とは藤沢和師の評価。その名の通り“慎”を味付けして流儀を継ぐトレーナーだ。