【日本ダービー】レーン ジンクス打破へ!65年ぶりテン乗りVだ
2019年5月20日 05:30 令和初の競馬の祭典で平成のジンクスは破られるのか――。「第86回日本ダービー」(26日、東京)で1番人気が予想される皐月賞馬サートゥルナーリアはC・ルメールの騎乗停止により、ダミアン・レーン(25=オーストラリア)が初めて騎乗する。ダービーの歴史でテン乗り(初騎乗)Vは3度しかなく、決まれば65年ぶり。若き天才が歴史的偉業に挑む。
半世紀以上、つまり平成ではただの一度もテン乗りで日本ダービーを制した騎手はいない。令和初のダービー。1番人気確実な皐月賞馬サートゥルナーリアはテン乗りで勝てるのか。
「全くそんなのは関係ない。日本でダービーと名の付くレースは(JRAでは)一つだけ。格式、重さが違うので楽しみ」
ルメールの騎乗停止で乗り代わりとなったレーンは言い切った。そう、ジンクスは破られるためにある。
日本の競馬界は変わった。以前は自厩舎でじっくりと鍛え、レースを教えて大一番に臨んだ。騎手が調教もレースも乗り、手取り足取り指導。いわゆる“お手馬”だ。今は違う。ここ数年、ノーザンファーム天栄(福島県)に代表されるように世界最先端の施設を備えた外厩で仕上げる。騎手はF1ドライバーのような存在だ。だからこそ、鞍上強化のための乗り代わりはもはや当たり前。昨年のダービーでも5頭がテン乗りで、石橋騎乗のコズミックフォースが3着に入った。
既にテン乗りのノームコアでヴィクトリアマイルを制してG1初制覇したレーンについて、調教師間の評価は極めて高い。手塚師が「掛かる馬を、前に壁をつくらなくても、引っ張らずに抑えられる技術を持っている。追えるというよりは、レース運びのうまさが特長」と話せば、サートゥルナーリアを管理する角居師も「高速馬場にも適応力があって、日本の競馬に合っている」と評する。ルメール戦線離脱後の鞍上に次々とレーンが決まったのも当然の流れだ。
レーンは元々、日本の競馬に非常に興味があった。「馬の質は間違いなく世界一。馬場も奇麗。ファンの熱量にも驚く」。単なる代打ではない。自らチャンスをつかんだのだ。すでにサートゥルナーリアの全レースをチェックし、15日に初コンタクトを済ませた。今週の最終追い切りにまたがる予定はなく、レースイメージはもう出来上がっている。
令和元年ダービーでいきなり、65年ぶりの偉業が達成されるのか。短期免許で初来日の騎手のダービー制覇となれば史上初。その答えは26日に出る。
▽テン乗り テンとは競馬用語で「真っ先」の意で、その馬に騎手が初めてレースで騎乗すること。
◆ダミアン・レーン ☆生まれ&サイズ 1994年2月6日生まれ、西オーストラリア出身の25歳。1メートル66、53キロ。
☆経歴 父は調教師、母は元調教師。6人きょうだいの長男。物心つく前から馬に乗っていた。高校を1年で中退し09年、15歳でデビュー。16年からリーディング上位の常連に。豪G1・15勝。4月27日から日本で騎乗し、初来日ながらすでに15勝。新潟大賞典(メールドグラース)、京王杯SC(タワーオブロンドン)、ヴィクトリアM(ノームコア)でJRA重賞3勝。
☆日本食好き 釣りが好きなこともあり魚が大好物。日本では刺し身、焼き魚を食べ、イカの塩辛にもチャレンジ。居酒屋で注文したホルモン焼きもお気に入り。
☆観光が楽しみ 来日後は多忙を極めるが安田記念(ステルヴィオに騎乗予定)後のつかの間の休日は観光をする予定。京都、富士山、箱根が候補。
☆伝説の名馬に興奮 社台スタリオンステーションに見学に行き、日本が誇る種牡馬と対面した。ディープインパクト、キタサンブラックにドキドキ。