【エルムS】吉田隼、アディラートで騎乗機会重賞3連勝へ 穴馬で勝つコツは「セコく乗ること」

2020年8月7日 05:30

吉田隼人(撮影・千葉茂)

 札幌で行われる「第25回エルムS」では、伏兵馬で重賞騎乗機会3連勝を狙う吉田隼のアディラートに注目だ。また同レースでは、横山父子によるJRA初となる重賞親子3人騎乗も見どころとなりそう。

 札幌の上空に垂れ込める鉛色の雲を見上げる吉田隼の口元がわずかに緩んだ。「アディラートはパサパサより湿ったダートの方がいい馬です。あとは外枠を引いてゲートを出れば…」と語ると、次の言葉をのみ込んだ。穴党ファン待望のダークホースを駆っての重賞3連勝へ。函館記念を15番人気のアドマイヤジャスタで差し切ると、続くクイーンSも11番人気のレッドアネモスで抜け出した。

 函館、札幌の小回りコースを舞台に2桁人気馬での連続金星。偶然ではない。「ずっと小回りコースで乗ってきましたが、重賞では人気馬に乗せてもらえるケースがなかなかありません。(人気のない馬で)ワンチャンスを生かすにはどうするかを考えています」。春秋は第3場の小回り福島で腕を磨いたジョッキーの面目躍如。「強い馬と同じコース取りをしても負かせません。(穴馬で勝つ秘けつは)少しでもセコく乗ること。クイーンSでは他馬(フェアリーポルカ)が同じ(インの)ポジションを狙ってきた3角で突っ張れたのがポイントでした」

 伏兵馬に訪れる一度限りの勝機を生かすも殺すも騎手次第。「でも、人気はなくても能力がなければ、重賞には勝てません」。アディラートも人気はないが、能力を秘めているという。前走・マリーンSでは苦手な内枠で3着。「馬混みに入れたり、砂をかぶると嫌がって伸びないけど、外に持ち出すとサッと反応します。前走もそうでした。外枠ならもっとうまくレースができます。発馬で時々立ち遅れるのでまずはゲートが勝負です」

 二度あることは三度あるのが競馬。「今年は(コロナ禍の)厳しい夏になりました。無観客でも競馬を通じて元気を与えられたらいいですね」と締めくくったが、大穴馬券を買ってテレビ観戦するファンの懐も元気づけるのが伏兵馬の重賞V3。穴党にとって巧腕が振るうステッキは打ち出の小づちだ。

 【馬場渋れば有利】アディラートはダートの道悪に実績を残している。大差ぶっちぎりでデビュー初勝利を挙げたのが重馬場(16年12月の阪神1400メートル)。初のオープン勝ちはやや重(19年10月のグリーンチャンネルC)だった。札幌は前線や低気圧の影響で不順な天候が続いており、雨馬場になれば有利だ。

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