【セントウルS】ダノンスマッシュ、距離短縮で悲願G1獲りへ 持ったままでしまい12秒2

2020年9月10日 05:30

坂路で追い切るダノンスマッシュ(撮影・平嶋 理子)

 中京のサマースプリントシリーズ最終戦「セントウルS」では快速ダノンスマッシュが重賞6勝目へ盤石の態勢だ。

 グッと内に闘志を秘め、馬体を大きく弾ませた。ダノンスマッシュは坂路へ。前半はゆったりと入る。せかすことなく、折り合いを確かめた。乗り手との呼吸はぴったり。胸突き八丁を迎えても持ったままの手応え。4F52秒1、1F12秒2。見届けた安田隆師は慎重に言葉を選んだ。「いい時に比べるとラストの瞬発力は物足りない。先週、ビシッとやって絞れると思っていたが体つきは多少緩いかなと思って見ていた」

 期待が大きいからこその厳しい言葉だ。折り合いがつき、持ったままで12秒2であれば普通の馬なら、もろ手を挙げて大喜びのレベル。つまり、陣営の視界に入っているのはあくまで頂点。G1だ。

 春の戦いは収穫だった。前々走の京王杯SC(芝1400メートル)では11戦連続で使ってきた1200メートルから距離を延ばした。そこでイメージを一新する逃げを打って快勝。前走・安田記念はオーナーサイドの意向もあって実に13戦ぶりのマイル参戦。果敢にハナを切ったが8着に失速した。「前走を見ても1600メートルは長かった。安田記念後はセントウルSと決めて調整してきた」。得意分野と異なる距離を経験し、自らの糧とする馬は多い。いつもと違う息の入れ方、スパートのタイミングを体感し、得意距離に戻った時、走りの切り札が増える。今回は本領発揮の1200メートル。距離延長で得た貴重な経験をぶつけたい。

 父ロードカナロアは12&13年セントウルS(ともに2着)をステップに本番・スプリンターズSで2連覇を達成した。「5歳になって馬自身の気持ちや体が大きく成長している。スプリンターズSに向けて、いい形でレースをしてほしい」(同師)。これまでとは、ひと味違うレースを見せた時、父に続くスプリンターズS制覇が一気に現実味を帯びてくる。

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