【セントライト記念】ダノンファスト“良血開花の時”芝未勝利馬14年ぶりVへ!JRA所属では異例の挑戦
2020年9月16日 05:30 今週は3日間開催。月曜の中山メイン「第74回セントライト記念」(菊花賞TR=3着まで優先出走権)にはダートで開花した良血ダノンファストが芝に再挑戦する。父キングカメハメハに加え、祖母ダンスインザムードの芝血統。昨年12月2歳未勝利戦(3着)以来の芝挑戦だが、砂で磨きをかけた末脚が芝でも火を噴くのか?菊花賞をあえて視界には入れず、眼前の一戦に全力の芝未勝利馬のチャレンジに注目が集まる。
秋を迎え、突然の路線変更。ダートで磨きをかけてきたダノンファストが芝のセントライト記念に名乗りを上げた。ダートは5戦3勝、2着2回で連対率100%。前走・天の川賞は小回り福島にかかわらず、後方から豪快な一気差しで古馬を一蹴。ダートで底を見せていない上がり馬がなぜ?
菊沢師は穏やかに切りだした。「春は体が緩くてさばきが硬かったので、ダートを使ったら思いのほか走って正直ビックリ…。それでダートを使い続けた。馬もだいぶしっかりしたのでもう一度芝を使おうと。ダートでクラスが上がって古馬と戦うにはもっとパワーが必要。それなら、芝でも3歳同士のここがいい」
デビュー2戦で走った芝(ともに3着)から砂に切り替えた理由と、セントライト記念参戦の意図を説明した。さらに「競馬を見ていると、ダートっぽくない切れ味を持っている」と目を輝かせた。確かにパワーで押しまくるわけではなく、ダート全5戦の上がり3Fは全て最速と強烈な瞬発力で好走してきた。父はダービー馬キングカメハメハ。母ダンスファンタジアは11年フェアリーS(芝1600メートル)の勝ち馬で、祖母ダンスインザムードは桜花賞馬。そう、バリバリの芝血統だ。指揮官が砂での快進撃に驚くのも当然だろう。
ひと夏越して馬も充実した。「体がひと回り大きくなった。そんなに長い距離向きではないけど、折り合いがつくので2200メートルは問題ないと思う。それに右回りが断然いい。ジョッキー(横山典)も右と左では走りが全然違うと言う」。全3勝を挙げている右回りコースもプラス要素だ。
ファストが勝てば、芝未勝利馬のセントライト記念Vは06年トーセンシャナオー以来で14年ぶり。果たしてファストは芝でも強烈な末脚を繰り出すのか?「芝自体は経験しているので。ここで菊花賞の権利を獲れるぐらい(3着以内)走ったら、将来は芝2000メートル前後の重賞を狙いたい」
眼前のクラシックを意識せず、選択肢拡大を狙う指揮官の無欲が逆に期待を膨らませる。京成杯AH連覇(トロワゼトワル)の好調男・横山典の巧腕にも注目だ。
≪「芝OP実績がないJRA所属」は異例≫06年トーセンシャナオーは前走・新潟500万下2着(現1勝クラス=芝2200メートル)からV。それまでの勝ち星は同年2月の公営・佐賀の交流競走(ダート1400メートル)の1勝のみ。芝は6戦未勝利だったが、若葉S3着、プリンシパルS3着とオープン好走歴があった。「前走ダートを使った馬のセントライト記念V」の例は04年のコスモバルクと82年ホスピタリテイ。前者は道営所属でJRA出走レースが限られ、北海優駿1着(旭川ダート2100メートル)をステップにV。芝はG2弥生賞など3勝の実績があった。後者は春まで公営・大井で8戦全勝(全てダート)。JRA転入初戦となったセントライト記念が芝初挑戦→芝重賞初Vの快挙となった。JRA所属でダートをステップに挑む芝未勝利馬のダノンファストの挑戦は異例といえる。