【神戸新聞杯】コントレイル 無敗3冠へ敵なし!「余力を持って」6連勝 堂々進む父・ディープの道

2020年9月28日 05:30

<神戸新聞杯>圧倒的な強さをみせ、完勝したコントレイル(右)(撮影・椎名 航)

 無敗3冠へ向け盤石の横綱相撲だ。菊花賞トライアル「第68回神戸新聞杯」が27日、中京競馬場で行われ、コントレイル(牡3=矢作)が単勝1・1倍の断然人気に応えて快勝。デビューからの連勝を6と伸ばし父ディープインパクト以来となる無敗3冠に王手をかけた。2着ヴェルトライゼンデ、3着ロバートソンキーまでが菊花賞(10月25日、京都)の優先出走権を獲得した。

 夢をつなぐ1勝だ。父ディープインパクトの神戸新聞杯と同じく単勝1・1倍に支持されたコントレイルが、父の軌跡をたどる無敗3冠の道をこじ開けた。

 福永が「難しいレースになってしまった」と振り返れば、矢作師も「道中はヒヤヒヤした」と言った。内枠からややあおったゲートのコントレイルの前に、外から馬が殺到。周囲を馬に埋め尽くされる形になってしまった。

 勝負どころから4角にかけても苦しい位置取りだったが、決して揺らぐことはなかった。直線に向いて一瞬できたスペースに福永はコントレイルを飛び込ませる。前が空いてからは鞍上のアクションがなくてもグングン加速していった。坂下で早々と先頭に立つと、あとは独壇場。最後は抑えたままフィニッシュした。福永は自身の手綱さばきでしっかりと難所をクリアして「勝てて本当にホッとしました」と息をつき、続けて語った。

 「負けていない馬。休み明けでも落とすわけにはいかない状況でした。内枠だったので進路を見つけてストレスなく走らせることが課題でした。余力を持って勝てたのが何よりです」

 矢作師も「折り合いも問題なく、前哨戦としては満点」と褒め称えた。

 夏場は大山ヒルズ(鳥取県)で過ごし、4カ月ぶりの実戦でも馬体重はダービーと同じ460キロ。背が高くなったためスラッとしたシルエットだ。「増えないね。土曜に量って468キロあったけど…。この辺は父と一緒なのかな」とトレーナーは父子を二重写しにする。父ディープインパクトもダービーが448キロで、神戸新聞杯も448キロ。成長していないのではなく、馬自身が体を仕上げた感もある。走りへの意欲、レースへの闘志は確実に受け継がれている。

 「この後は放牧に出せないので、スイッチが入りすぎないように調整を進めていきたい」

 あとは慎重に本番を迎えるだけ。ディープインパクトから15年。コントレイルが次走の菊花賞で、父以来の無敗3冠達成に挑む。

 ≪英雄と並ぶ単勝1.1倍≫JRA史上2頭しかいない無敗3冠馬は秋初戦で完璧な強さを見せた。セントライト記念で始動した84年シンボリルドルフは単勝1.2倍。鞍上・岡部幸雄が直線の坂上まで追わない余裕でオンワードカメルンに3馬身差。2分13秒4は当時のコースレコードで無傷7連勝を達成。神戸新聞杯で始動した05年ディープインパクトはレース史上最高の単勝支持率78.5%で単勝1.1倍。後方進出から直線突き抜け、シックスセンスと2馬身半差。この日のコントレイルの単勝支持率72.6%(2位は70年12着ダテテンリュウの74.5%)はレース史上3位。単勝110円は05年ディープインパクト、65年ダイコーターと並ぶレース史上最低単勝払戻額で、父に続き無傷6連勝を飾った。

 ◆コントレイル 父ディープインパクト 母ロードクロサイト(母の父アンブライドルズソング)牡3歳 栗東・矢作芳人厩舎所属 馬主・前田晋二氏 生産者・北海道新冠町ノースヒルズ 戦績6戦6勝 総獲得賞金5億2785万8000円。

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