【毎日王冠】サリオス、雨でもあっ晴れ!状態悪いWコース避けて芝で軽快12秒2
2020年10月9日 05:30 秋の東京開幕を飾る毎日王冠(11日)で、秋始動戦を迎えるサリオスが、出走馬中唯一の木曜追いを敢行。状態の良くないウッドチップコースを避け、本番と同じ芝コースで最終調整。軽快な脚さばきで併入した。春2冠は無敗コントレイルの前に涙をのんだが、それでも【3・2・0・0】と底を見せない3歳馬。今週から観客入場が再開される東京で、世代上位の走りをファンに見せつける。
大事な秋初戦を迎えるサリオス。堀厩舎は万全を期して最終追いのパターンを変えた。通常はまずダートコースで準備運動してから、Wコースで追い切るのが定番。ところがこの日はまず坂路へ。4F71秒7でじっくりと脚慣らしを終えると、Wコースではなく芝コースへと入った。ゼーゲン(5歳3勝クラス)を2馬身追走し、馬なりで4F54秒1~1F12秒2をマークして併入した。「先週までに態勢はしっかり整っているので、半マイル(4F)から、しまいに余力を残しながら、いい追い切りができた」。森助手は満足そうに振り返った。
パターン変更について森助手は「馬場の悪化が予想されたので、本馬場(芝)で追い切りました。ウオーミングアップを坂路にしたのも同じ理由です」と説明した。美浦のWコースは、今週から路面に敷き詰めた木片の入れ替えを実施。まだ馬場になじんでおらず、水曜に追い切った陣営からは「フワフワしていてグリップが利かず走りづらい」「馬が走りのバランスを崩していた」などの声が上がっていた。加えて、前日午後から降り続いた雨の影響で、より走りに影響が出ると判断した。
今春はクラシック2冠に出走し、いずれもコントレイルの2着。無敗2冠馬の後塵(こうじん)を拝したが、敗戦を糧にサリオスも進化。森助手は「ダービー後の疲れは、夏の北海道でしっかり取れた。少しふっくらして、つくべきところに筋肉がついてボリュームのある体つきになった」と成長に目を細める。
新馬戦から朝日杯FSまでマイル戦で3連勝。豊富なスピードを生かすため、1800メートルに距離を短縮して新たな道を模索する。「初距離ですが、前後の距離では走っているし東京にも実績がある。この馬の力を出せる条件だと思う」と森助手は力をこめた。唯一の懸念は週末の雨予報。「跳びが大きい馬なので道悪がプラスではないが、克服してほしい」と願った。無敗3冠を目指す好敵手は、神戸新聞杯で鮮やかに秋初戦を飾った。いったん袂(たもと)を分かつサリオスだが、無観客競馬を共に盛り上げてきた“同士”として負けていられない。
【3歳馬Vは過去4頭】毎日王冠の3歳馬Vは現行条件となった84年以降で4頭。88年にオグリキャップが優勝したが、クラシック登録がなかったための出走。当時は3歳の賞金上位馬は菊花賞を目指すのが当然で、3歳馬の参戦自体がほとんどなかった。90年代後半から距離の“専門化”が進み、3歳馬の出走が増え始めた。10年にサリオスと同じ堀厩舎のアリゼオが22年ぶりの3歳V。エイシンアポロンと3歳ワンツーを決めた。昨年は同じくダービー2着から路線変更したダノンキングリーが優勝した。