【マイルCS】グランアレグリア 春秋マイル頂点へ“完成の域” 馬なり1F11秒7で藤沢和師が太鼓判

2020年11月19日 05:30

<マイルCS>朝一番の美浦芝コースで、充実感たっぷりに最終リハを行ったグランアレグリア(撮影・西川祐介)

 完成の域アレグリアに名伯楽も太鼓判だ。「第37回マイルチャンピオンシップ」でG1・4勝目を狙うグランアレグリアが美浦芝コースで最終追いに臨み、スムーズに折り合って併入。同レース最多4勝を誇る藤沢和雄師(69)は「力みがなくなった」と合格点を与え、今年JRA・G1・6勝と猛爆中のクリストフ・ルメール(41)に託した。マイルCSは19日、出走馬が確定する。

 藤沢和厩舎らしい柔らか仕上げ。グランアレグリアは杉原(レースはルメール)を背に朝一番の芝コースで併せ馬。8馬身先行するレッドアルマーダ(4歳3勝クラス)をムキに追いかけることもなく、スムーズに制御して4コーナーで射程圏に入れた。手綱を抑えたまま機敏にビュンと加速し、体を並べてゴール。5F64秒9~1F11秒7(馬なり)。気難しい面はすっかり消え、しっかり伸びた。4歳秋を迎えて完成の域に入った。

 藤沢和師も満足そうだ。「1回レースを使っているし、強いのは必要ない。前の馬も一生懸命に走っていたのでいい感じの併せ馬ができた。2歳の頃と比べると調整しやすくなった。穏やかで力みがなくなり、随分古馬らしくなってきた」

 1200メートル2度目の挑戦となった前走・スプリンターズSは12キロ増で504キロの最高体重。18年6月東京新馬戦(1着=458キロ)と比べると、50キロ近くも増えた計算。筋肉ムキムキ。どっしりとした後肢の厚み。前走・スプリンターズSは最終4コーナー15番手から強烈な一気差しでG1・3勝目。「速くて、ついて行けなくてヒヤヒヤしたけど結果的に速い流れで良かった。しまいもしっかりしていた」。師も驚嘆した鬼脚だった。

 例年の京都から舞台替わりとなった阪神1600メートルは桜花賞でG1初制覇。3歳暮れの阪神カップ(1400メートル)は5馬身圧勝。「(06年に)コースを改修した後の阪神マイルは枠順の不利もなく、フェアで素晴らしいコースになった。何度か勝たせてもらっているのでいいと思う」と歓迎している。

 JRA・G1・31勝を数える師にとって、マイルCSは93年シンコウラブリイでG1初制覇を飾ったメモリアルレース。97、98年連覇のタイキシャトル、01年ゼンノエルシドで計4勝。G1・31勝中15勝が1600メートル。誰よりマイルG1を勝つ意義を感じている。「マイルのG1が整備されてレースも増え、何世代もの馬が集まってくる。朝日杯や阪神JFを勝った馬もいれば、桜花賞やNHKマイルCを勝った馬もいる、その中で勝ち抜くのは簡単なことではない」

 中でも今春、安田記念でアーモンドアイを一蹴したアレグリアはひときわ輝いている。史上8頭目の春秋マイルG1同一年制覇をはじめ、記録ずくめの大一番。指揮官は「順調に来ているので楽しみ」と笑顔で結び、名手ルメールにバトンを渡した。

 ≪“記録ずくめ”Vだ≫グランアレグリアが安田記念とマイルCSの双方制覇を達成なら史上12頭目。同一年の達成は昨年インディチャンプに続く2年連続8頭目となる。同一年のスプリンターズSとマイルCS制覇なら03年デュランダル以来、17年ぶり。マイルCS歴代最多4勝の藤沢和師がJRA同一G1・5勝目を飾れば、自身の天皇賞・秋の6勝に続き、グレード制導入の84年以降では2例目となる。

特集

2020年11月19日のニュース