【有馬記念】困ったときの“神仏頼み”、必勝パワースポット巡り紹介

2020年12月25日 05:30

有馬当てるぞ!関東近郊パワースポット

 困ったときの神仏頼みだ。コロナ禍が広がる中でゲートインする大混戦グランプリ。コロナ収束と馬券的中を祈願して、疫病払い&金運上昇のパワースポットを巡ってみた。都内とその近郊の神社仏閣にワラにもすがる思いで願を掛ける。すると、お告げのように聞こえてきたのは…。

 ≪安田記念で大ヒット≫▽根津神社(文京区) 白蛇は金運をもたらす七福神の紅一点、弁財天の使いだという。下町の情緒あふれる東京・根津の住民に「権現さま」の愛称で親しまれている根津神社。境内に並んだ魔よけ、疫病払いの千本鳥居を北から南へくぐり抜けて社務所に立ち寄ると、白袴(しろばかま)姿の若い出仕(神職見習)が社殿の先を指さした。「白蛇が住んでいたといわれるご神木はあそこです」。鈴なりになった絵馬に囲まれて静かにたたずむ常緑針葉樹の老木。願いごとをすると、かなえられたとの伝承から「願掛けカヤの木」と呼ばれる神木である。

 3000株のツツジの植栽で知られる神社にふさわしいツツジの絵馬を奉納。かしわ手を打って馬券的中の願掛けをすると…。6月の安田記念直前に美浦トレセンで目撃した不思議な光景がまぶたに浮かんだ。

 「蛇だ!あんた、今週は馬券でもうかるぞ」。安田記念に出走するグランアレグリアの最終追い切りを見届けた藤沢和師が馬場の出口へ急ぐ足を止め、こちらに七福神のような笑みを向けてきた。足元には脱皮を終えた白蛇の抜け殻が朝日に光っていた。美浦トレセンでアオダイショウはたまに見かけるが、白蛇は初めて。「ここで買わずにどこで買うんだ」と師に背中を押されて、エイヤーと性根を据えて踏み込んだところ、孫娘の一升餅(1歳の誕生祝い)代を出してお釣りがくる大ヒット。2着に敗れたアーモンドアイのルメールが「あんなに強くなっていたなんて…」と蛇に遭遇したような驚きの声を上げたのだった。

 その後、当たりがさっぱり来ない身には正月の餅代が懸かった有馬記念。「願掛けカヤの木」で拝礼を済ませ、千本鳥居を再びくぐると、その先には穴稲荷とも呼ばれた「乙女稲荷」の祠(ほこら)が建っていた。縁結びの女神をまつったこの祠の奥にうがたれた深い穴を女性器に見立てて「乙女」の名がついたという。根津神社の門前に遊郭が軒を並べた江戸時代。心寄せ合う人と結ばれたくて参拝に訪れた遊女もいたそうだ。有馬で穴をあけるのは、乙女の愛が込められたラヴズオンリーユーか、あるいはローマ神話の女神サラキアか。祠の穴をのぞこうとして身を乗り出すと、何かが白く光った。(特別取材班)

 ≪夢枕に立つ鉄砲巧者 番狂わせモズベッロ≫▽皆中稲荷神社(新宿区) 夢枕とは夢の中に神仏などが現れてお告げを授けること。400年前の江戸・寛永年間、現在の新宿区百人町には幕府の鉄砲組百人隊が駐屯していた。隊に所属する一人の与力は訓練を重ねても射撃の腕がさっぱり上がらない。思い悩んでいると、稲荷大神が夢枕に立って稲荷神社で霊符を受けるように告げた。翌朝、与力がお告げ通りに参拝し、射撃練習をしたところ百発百中。それ以来、的中のパワースポットとして「皆中(みなあたる)稲荷」の名で信仰を集めてきた。

 「関西ジャニーズJr.の公演チケットが当たりますように…」。ギャル文字で記された絵馬の上に馬券的中祈願の絵馬を掛けながら、29年前の有馬記念の逸話を思い出した。「優勝レイを掛けたダイユウサクがわしの夢枕に立ったんや。勝つで」。同馬を管理する内藤繁春師が紅潮した顔で漏らした。翌日、ダイユウサクはブービー人気で大番狂わせを演じたのだった。

 鉄砲組にちなんでメンバー唯一のモズベッロが鉄砲駆けすればダイユウサク級の大番狂わせ。初コンビに強い田辺の鞍上で的中精度が上がるか。かしわ手を打つと、絵馬が風もないのにカタカタと音を立てて揺れた。

 ≪ブーケドールの国枝師参拝≫▽大杉神社(茨城県稲敷市) 美浦トレセンの厩舎関係者が足しげく参詣しているのが美浦近郊にある大杉神社。8世紀にはご神木の大杉が疫病を鎮めたという。境内にたたずむ末社、勝馬神社の祠をのぞくと、馬像の手綱を石造りの猿が引いている。厩神(うまやがみ=馬の守り神)として信仰されてきた駒止めの猿だ。「かつて祠は美浦の馬牧(官営牧場)に祭られていましたが、馬牧が消滅したため(鎌倉時代に)当地へ移されました」と市川宮司は説明する。戦前には境内の馬場で村競馬も開き、馬を保護してきた。馬券を当てるため本物の蹄鉄が貼られた絵馬を奉納。「私も毎年、初詣に行ってます。御利益あるかも」と語るのが国枝師。師が送り出すカレンブーケドールも押さえる。

 ≪ワラをもつかむ思いクロノ≫▽深大寺(調布市) 東京競馬場に近い調布の深大寺は疫病退散の御利益で知られる秘仏・元三大師像が安置されている。平安時代に元三大師が病魔を退散させるため自ら魔物になった姿を写し取ったのが降魔札。魔をもって魔を制す護符である。今年はこのお札を自宅の玄関先に貼ってコロナ退散を願う参拝者が多いという。深大寺の金運パワースポットといえば、恵比須尊と大黒天が並んで祭られた福徳尊。手を合わせた後には参拝土産として人気の赤駒を買い求めた。家族や友人、恋人の無事を祈ってワラで編まれた馬の民芸品。原料のワラは栗東トレセン近くにある滋賀県東近江産だという。人気の関西馬クロノジェネシスにワラをもつかむ思いで買ってみるか。

 ≪戦災逃れた奇跡の地 キセキ財運もたらす≫▽小網神社(中央区) 拝殿の屋根に彫られた龍が厄よけ、疫病封じの龍神として信仰されている小網神社(東京・日本橋)。室町時代に悪疫を鎮める祈願所として創建されたというが、馬券的中に御利益があるのは拝殿の左手に鎮座する弁財天だ。その前に設置された井戸の流水で清めたお金を財布に収めれば、たちまち財布が福沢諭吉で膨らんでくる。財運をもたらす「東京銭洗い弁天」だ。下町を焼け野原にした東京大空襲の際、奇跡的に戦災を免れたことから奇跡のパワースポットとされている。社務所で龍神のしずく玉と金運守りを授かり、キセキの馬券を買ってみる手も。

 ≪一陽来復願ってオセアで穴狙い≫▽穴八幡宮(新宿区) 穴馬券を当てたいなら早稲田の穴八幡宮は外せない。冬至にあたる今週21日に訪れると、この日から授与を始めた一陽来復のお札を求めて参詣者の長蛇の列。一陽来復とは最も日が短い冬至を境に日が長くなっていくことを意味する。転じて凶事の後には吉事が来るという儒教の金言だ。コロナ禍の後に幸せが訪れることも願っているが、こちらの切羽詰まった願いごとは穴的中。金運も招くこのお札を冬至から日付が変わる午前0時に恵方(今年は南南東)へ向けて貼れば、金銀融通(お金繰り)が良くなるという。イチ推しの穴馬オセアグレイトの名を唱えながら恵方に貼ってみた。江戸時代には疫病払いの流鏑馬(やぶさめ)が奉納されたという穴八幡宮。馬上から放った矢は穴馬券も射止めるか。

 ≪子年に“ねずみ小僧”逃げ足速いバビット≫▽回向院(墨田区) 子年(ねどし)最後の大勝負にちなみ、ねずみ小僧次郎吉が眠る両国の回向院に参詣した。ねずみ小僧といえば大名屋敷から千両箱を盗み出し、貧しい庶民に小判を配った江戸時代の義賊。長年捕まらなかった強運、金運にあやかろうと、ねずみ小僧の墓石を削り、その石粉をお守りにする風習が今日まで続いている。馬券を取りたい一心で試してみた。墓の前に置かれた「お前立ち」という白色の軟らかい石を小石でごりごり削る。その石粉をねずみのイラストが描かれた「開運招福御守」に入れて持ち帰った。逃げ足が速くて追っ手に捕まらない。ねずみ小僧にあやかるならバビットの逃げ切りか。夜中に予想していると、奇々怪々な鳴き声が聞こえてきた。テキチュウチュウ…。空耳か。

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