【有馬記念】JC3連複100万1点的中!“希代の馬券師”塩崎氏 フィエールとクロノ一騎打ちだ

2020年12月25日 05:30

有馬記念に出走するクロノジェネシス(左)とフィエールマン

 希代の馬券師がもう一丁勝負だ。ジャパンCで3冠馬3頭の3連複1点、100万勝負に見事、勝ってみせた競馬評論家・塩崎利雄氏(76)。だが、200万円程度のもうけで今年の勝負を終える塩崎氏ではない。有馬記念でもうひとばくち。これが男の生きざまよ。今回は3連単。豪勢に年を越すか、せんべい布団にくるまって除夜の鐘を聞くか。昭和の男の戦いを見届けろ。

 昔、と言っても何十年も前だが、遊び仲間の先輩に「盆ヅラがいい」と一目置かれる人がいた。勝って得意がることもなく、大負けしても泣きを入れず淡々としていて「格好いいな…」と憧れていたその人が、ある時「塩チャンよ、女にモテた話と賭け事で勝った自慢話は他人にしない方がいいぞ」と教えてくれた。

 「いい女で物分かりのいい子だから紹介してやろうか」とか「いい目と出たからお裾分けで祝儀10万あげるよ」なんて付け加えれば「本当?うれしい!」と、なるんだろうが、そうじゃなければ聞かされる方は面白くもなんともなく、腹の中で「チェッ!」とつぶやいているに違いないからと諭してくれたのだ。

 まだ未熟モンのこちとら、酒席でつい自慢話をしがちになって、ハッと気が付き、口をつぐむことしばしばある。「ジャパンカップ」の週、このコラムで“3頭立ての競馬と妄信。3連複の100万1点勝負!”と不遜なことを書いてしまったが、僥倖(ぎょうこう)にして的中となった。

 だが、その後が大変だった。携帯の番号を知っている20人ぐらいの知人、友人から「本当に100万買ったの?」「実際のところ、いくら取ったよ?」と、うるさいことおびただしい。

 「うん、よかったヨ…」

 「まあ、想像に任せるヨ」

 はぐらかしてやった。“言わぬが花”で、言ったら“味ない味ない”である。それよりも「いい競馬だったナァ…」当てた喜びもあって余韻に浸っていると、ウイニングランを終え、ゆっくりとスタンドに戻ってくるアーモンドアイとルメールの後方、鈍色(にびいろ)の厚い雲に覆われていた西の空から、五筋、六筋のオレンジ色の夕日がきらめくように差してきたではないか。

 それは、まるで勝った人馬を称えるかのように実に幻想的であった。久々に感動したね。

 「有馬記念」にいこう。

 今年G1を8勝。神がかった手綱さばきを見せているルメールのフィエールマンにするか、「宝塚記念」でぶっちぎりを演じ、「天皇賞・秋」でもアーモンドアイ、フィエールマンと際どい勝負の3着した北村友一のクロノジェネシスにするか、正直なところまだ迷っている。

 馬連なら1点勝負でほぼ決まると思うが、暮れの大一番。助平心と欲の間違いで、やはり3連単も買ってみたい。

 フォーメーション馬券で1、2着にフィエールマンとクロノジェネシスを置いて、3着に福永祐一のラッキーライラック、川田将雅のオーソリティ、池添謙一のカレンブーケドール、武豊のワールドプレミアの4頭での8点買い。

 「なんだい。人気馬ばかりじゃねえか…」

 それこそ、チェッ!って言われそうだが、コロナ禍で、ともすればザラついた気持ちになりがちなご時世。強い馬が強い競馬をする美しいシーンを見たい気がしてならない。

 あと何回「有馬記念」を見ることができるのか。指折り数えて、薬指で少しためらい、小指で中折れになった。5回、いや7回ぐらいは何とか、と思うが、あまり自信はない。ならば、悔いを残さぬよう、それなりに気合を入れて買うまでだ。

 “言わぬが花”

 そうなればいいのだが…さて。(競馬評論家)

 ≪3冠3頭で3倍ズバリ!≫塩崎氏は今年のジャパンCで新たな博徒伝説をつくった。11月25日付の本紙への寄稿で、3冠3頭の3連複1点、100万円勝負を宣言。「3倍つけばオンの字。“馬鹿は死んでも治らない”と嗤(わら)ってくだされ…」と記したが、ずばり3連複3・0倍をブチ当てた。

 ◆塩崎 利雄(しおざき・としお)1944年(昭19)5月29日生まれ、東京都出身の76歳。東京スポーツを皮切りに競馬専門紙を含めて55年の予想歴を誇るベテラン競馬評論家。東京競馬記者クラブ会友。スポニチには01~02年に予想コラム「鉄火場慕情」を執筆。主な著書は極道記者シリーズ、止まり木ブルースシリーズなど。

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