【桜花賞】ソダシ&アカイトリノムスメの“紅白”激突楽しみ

2021年4月9日 05:30

 【競馬人生劇場・平松さとし】今週末に行われる桜花賞(G1)に2頭の有力馬を送り込むのが金子真人オーナー(名義は金子真人ホールディングス)だ。

 1頭は昨年の阪神JF(G1)を勝ち、JRA賞最優秀2歳牝馬に選出されたソダシ(栗東・須貝尚介厩舎)で、もう1頭はアカイトリノムスメ(美浦・国枝栄厩舎)だ。

 ソダシは白毛馬。馬名はサンスクリット語で“輝く”という意味らしいが、金子オーナーはこの血統の馬に常に毛色と関連性のある名前を付けている。ソダシの母は白毛に茶のブチ模様が入っていたためにブチコ。ブチコと同様の毛色の姉はマーブルケーキで、他の兄姉も白い馬体から連想したシロクン、ユキチャン、マシュマロなど。そして、それらきょうだいの母はシラユキヒメといった具合だ。

 一方、アカイトリノムスメはその母が3冠牝馬のアパパネ。アパパネとはハワイに生息する“赤い鳥”で、その娘だからアカイトリノムスメだ。ちなみにアパパネはその父がやはり金子オーナーの所有していたキングカメハメハ。ハワイ全島を統一した大王からの命名で、アパパネもそうだがその産駒にはハワイ関連の名を付けることが多い。

 同オーナーがこのようなオシャレな名前を付けるのは何もこの血統に限った話ではない。例えば次週の皐月賞(G1)に出走予定のヨーホーレイクはカナディアンロッキーの人気スポット、ヨーホー湖のことだが、これはその母が“カラスと渓谷”を意味するクロウキャニオンからの連想だろう。ついでに言えば、そのクロウキャニオンも金子オーナーの馬で、母クロカミから名付けられたと思われる。

 ペット感覚で名付けるのではない、こういった命名法は単に粋なだけではなく、サラブレッドが血統を紡ぐ文化であることを考慮すると、非常に大きな意味がある。

 「馬名は記号にあらず。血統をつなぐ文化遺産である」と言ったのは故・大橋巨泉氏だったが、金子オーナーの命名法をみていると、まさに文化の継承者だと感服させられる。白いソダシと“アカ”イトリノムスメが紅白ならぬ白黒をつける週末を楽しみにしたい。 (フリーライター)

特集

2021年4月9日のニュース