【凱旋門賞】クロノジェネシスでも夢かなわず 無念7着、残り200メートルで止まった…
2021年10月4日 05:30 日本馬の悲願は今年もかなわなかった。3日(日本時間同日深夜)、フランスパリ近郊のパリロンシャン競馬場で欧州競馬最高峰のG1「第100回凱旋門賞」が、近年でも最も悪い馬場コンディションで行われた。日本から臨んだクロノジェネシスは残り200メートルで力尽きて7着。ディープボンドは直線仕掛けたが伸びず14着。また武豊(52)騎乗のブルームは11着、日本産ディープインパクト産駒スノーフォールは6着。JRA発売の単勝オッズで110・5倍のドイツ馬トルカータータッソが大金星を挙げた。
果敢に、勇敢に戦った。外寄り14番枠のクロノジェネシス。スタート後、内ラチ沿いに密集するライバルたちを無視して直進する。自由なエリアで位置を上げ、じわじわと好位外2番手へ。直線残り300メートルまで2番手をキープ。さあ、ここからが日本の誇るタフネス女王の真骨頂。日本で見守るファンにも力が入る。しかし、欧州の強豪たちがあまりに手ごわい。残り200メートルで後続が追い付き始めると、日本競馬の夢は馬群にのみ込まれた。日本では見られない苦しそうな走りで7着に終わった。
マーフィーは序盤の運びについて「(15年Vデットーリ騎乗の)ゴールデンホーンがあのルートを取ったので」と説明。「徐々にいいポジションを取ろうとした。道中はいい感じで直線でもいい感じだったが、そこから加速がなかった」と振り返った。その原因は「日本とは重馬場が違う」と馬場の違いに原因を求める。「状態は本当に良かった。チームの皆さんはとてもいい仕事をした。夢を見させてもらった。レースのほとんどの部分は夢がかなうレースができた」と陣営に敬意を表した。
前日からの雨で水が浮いたパリロンシャンのターフ。6馬身差Vの20年宝塚記念など、やや重~重で4戦4勝のクロノをしてもあまりにタフなコンディションとなった。レース前、同馬を所有するサンデーレーシングの吉田俊介代表が「日本では重たい馬場で凄いパフォーマンスを見せてくれたが、向こうの重馬場はまた全く違うので」と不安視した悪条件となった。
新たなチャレンジだった。過去、凱旋門賞に挑んだ馬は1、2カ月前から日本を離れ、現地の前哨戦を走る馬も多い。だが、クロノは栗東で実質の最終追い切りを済ませ、レース9日前にフランスへ。斉藤崇師は「日本でいつも通りの調教場でいつも通りの調整ができて、ある程度仕上がった状態で連れて行けるのがいいと思って」とクロノの力を最大限に発揮できる過程を選んだ。一昨年、同クラブのフィエールマンは英国ニューマーケットでの滞在調整を選択。日本馬陣営の“凱旋門賞攻略”への歩みは今後も止まらない。
ディープインパクト、オルフェーヴルなど日本のエース馬たちが延べ27回散った凱旋門賞。今年も重き門をこじ開けることはできなかったが、グランプリ3連覇中の現役最強牝馬はどの馬よりも勇敢に戦った。