【天皇賞・秋】エフフォーリア 19年ぶり3歳馬V!横山武は2週連続G1&親子3代盾制覇
2021年11月1日 05:30 3強対決は3歳新星に軍配。伝統のG1「第164回天皇賞・秋」が31日、東京競馬場で行われ、3番人気の皐月賞馬エフフォーリア(牡3=鹿戸)が快勝。3冠馬コントレイル、G1・5勝の女傑グランアレグリアを従え、新たな王位に就いた。3歳馬Vは02年シンボリクリスエス以来、19年ぶり4頭目。鞍上の横山武史(22)、管理する鹿戸雄一師(59)は同レース初制覇。横山武は先週の菊花賞に続き、2週連続のG1制覇。祖父・富雄氏(69年メジロタイヨウ)、父・典弘(09年カンパニー)に次いで、史上初の親子3代による盾制覇となった。
歓喜のウイニングラン。エフフォーリアの馬上で、横山武はスタンドに向かって何度も拳を突き上げる。そして、ゴーグルの奥からあふれる涙をぬぐった。「人生初のうれし泣きです。ダービーのこともあったので…」。4戦無敗、単勝1・7倍で迎えたダービーで、シャフリヤールに鼻差の惜敗。「今でも思い出したくないくらい。本当に悔しかった。でもそれを糧にして、いい結果を出せたのは良かった」。春の無念を晴らす快勝。目を真っ赤に充血させた若武者の表情に達成感があふれた。
好位6番手から進め、直線は先行馬群の外へ。残り400メートルで先頭に立ったグランアレグリアを、ゴール前100メートルでねじ伏せる。追ってきたコントレイルに馬体を併せることすら許さない完勝だった。「理想的な位置で、余計なことを考えず馬の力を信じて乗った。春よりパワーアップして、オンオフがはっきりつく。改めて能力を示すことができた」。鞍上はたくましく成長した愛馬を称えた。
タイトルホルダーで制した菊花賞に続いて2週連続のG1制覇。しかも祖父で元騎手の富雄氏(故人)、現役の父・典弘に次ぐ親子3代での盾制覇という快挙だ。父から「おめでとう、良かったな」と祝福された孝行息子は「天皇賞はデビュー時から目標にしていたレース。親子3代での優勝は、なかなか達成できることではないのでうれしい。2週続けて勝てたことも含め、いい馬に乗せていただいたことに感謝したい」と結んだ。
管理する鹿戸師も盾初制覇。「強い馬が相手で不安もあったが、直線でも手応えが残っていたので、何とかやってくれると…。ダービーの悔しさがあったから、スタッフも一丸となってやってこられた」と感慨深げ。3歳馬の優勝は02年シンボリクリスエス以来19年ぶり。当時の鹿戸師は現役騎手だったが、調教師転身を視野に、クリスエスを管理する藤沢和厩舎で調教を手伝いノウハウを学んだ。「ずっと応援してもらったし、本当にうれしい。偉大な先生に追い付くことはできないが、少しは近づけたかな」とはにかんだ。
次走は有馬記念(12月26日、中山)が有力。横山武は「距離がさらに500メートル延びるので、より一層、折り合いに気をつけたい」と次を見据える。鹿戸師が調教をつけたこともあるシンボリクリスエスは02、03年に天皇賞・秋、有馬記念連覇という偉業を成し遂げた。師はエフフォーリアを「クリスエスに近づける素質を持っている」と評する。来年2月で70歳定年を迎える藤沢和師へのはなむけ。最高の恩返しとなるグランプリ制覇を目指す。
◆エフフォーリア 父エピファネイア 母ケイティーズハート(母の父ハーツクライ)18年3月10日生まれ 牡3歳 美浦・鹿戸厩舎所属 馬主・キャロットファーム 生産者・北海道安平町のノーザンファーム 戦績6戦5勝(重賞3勝目) 総獲得賞金4億3327万6000円。馬名の由来は強い幸福感(ευφοριαの現代ギリシャ語読み)で母名より連想。
《ベストターンドアウト賞受賞》筋肉隆々の馬体を携え、3歳馬とは思えない実に落ち着いた様子でパドックを周回したエフフォーリア。その姿を称えられ、成田助手が天皇賞・秋で最も美しく手入れされた馬の担当者へ贈られる「ベストターンドアウト賞」を受賞した。同助手は「光栄です。普段から行っていることが評価されてうれしいです」と喜びを語った。
【天皇賞・秋アラカルト】
☆騎手&調教師 横山武は初騎乗初勝利。JRA・G1通算3勝目。JRA重賞は今年7勝目、通算8勝目。鹿戸師はJRA・G1通算3勝目。JRA重賞は今年3勝目、通算10勝目。
☆血統 エピファネイア産駒はJRA・G1通算5勝目。JRA重賞は土曜のアルテミスS(サークルオブライフ)に続き今年5勝目、通算8勝目。
☆馬主 キャロットファームはJRA・G1今年3勝目、通算28勝目。JRA重賞は今年9勝目、通算120勝目。
☆生産者 ノーザンファームは18年レイデオロから4年連続の勝利で通算8勝目。また18年から4年連続4回目の天皇賞・春と秋の同一年制覇。
☆関東強し 18年のレイデオロから関東馬が4連勝。通算成績は関東馬50勝、関西馬32勝。
☆皐月賞馬 皐月賞馬のVは07年メイショウサムソン以来14年ぶり8頭目。皐月賞馬が同年の天皇賞・秋を制覇するのは史上初。
☆ロングシュート エフフォーリアは前走のダービーから中153日での勝利。実施距離が芝2000メートルとなった1984年以降では最長間隔での勝利。