【マイルCS】グランアレグリア 6頭目連覇で有終の美、G1・6勝目 獲得賞金10億円超え

2021年11月22日 05:30

<阪神11R・マイルCS>鮮やかに差し切り、連覇で有終の美を飾ったグランアレグリア=中央(撮影・亀井 直樹)

 天才マイラーが引退の花道を飾った。「第38回マイルCS」が21日、阪神競馬場で行われ、クリストフ・ルメール(42)騎乗の1番人気グランアレグリアが激しい追い比べを制して史上6頭目の連覇を達成した。6度目のG1制覇で、牝馬6頭目となるJRA獲得賞金10億円を突破。管理する藤沢和雄師(70)は同レース2度目の連覇で最多6勝目となった。

 ゴールの瞬間、場内にわき起こった拍手は、鳴りやまなかった。これ以上ない走りで有終の美を飾った名牝。まだ大声は上げられない競馬場だが、ファンは心の中であふれんばかりの大歓声を送ったはずだ。スペイン語でグラン(大きな)アレグリア(歓声)。その名にふさわしいラストランだった。

 ルメールは力強い握り拳でガッツポーズをし、雄叫びを上げた。興奮しきりの鞍上は「本当にうれしい。ラストなので本当のグランアレグリアを見せたかった。やっぱり今日は他の馬と走りが違いました。完璧なラストランができてうれしく思います」と誇らしげだ。ここまでともに戦ってきた鞍上にはJRA通算1500勝のメモリアルVのプレゼントも付いた。

 2番手を追走した前走・天皇賞秋(3着)とは一転、後方からの競馬となったが、絶品の末脚を信じるルメールは慌てなかった。「ちょっと後ろになったけどスーパーホースですから、気にしないで騎乗しました」。道中はダノンザキッドの後ろでリズム良く追走した。勝負の直線は「内があまり良くなかった。大外の馬場はいい状態だった」と、相棒の武器を最大限発揮できる馬場の奇麗な“花道”へ誘導。猛然と加速し、他馬をあっという間に抜き去った。上がり3Fはメンバー最速の32秒7!最後も規格外の末脚をいかんなく発揮した。ルメールは「だんだん加速できたし、グランアレグリアの素晴らしい脚を使うことができた。こういうメンバーの中で素晴らしいパフォーマンスでした」と満足げに振り返った。

 1600メートルでは最後まで最強であり続けた。グレード制導入後の84年以降で最多のマイルG1・5勝目。正真正銘のマイル最強女王の称号を手にした。今年は2000メートルにも果敢に挑戦して善戦したが、マイルではやはり別格の存在だった。

 2歳から常に一線級で活躍してきた。JRA・G1・9戦連続出走は84年以降でオグリキャップに並ぶ記録。完璧な有終Vで最強ストーリーは完結した。だが、すぐに名牝の血をつなぐ第二章が幕を開ける。ルメールは「いい赤ちゃんを授かってください。あなたの子どもに乗りたいです」とラブコール。名牝の血を受け継ぐ子の誕生が今から楽しみだ。

 ◆グランアレグリア 父ディープインパクト 母タピッツフライ(母の父タピット)16年1月24日生まれ 牝5歳 美浦・藤沢和厩舎所属 馬主・サンデーレーシング 生産者・北海道安平町のノーザンファーム 戦績15戦9勝(重賞8勝目) 総獲得賞金10億7381万3000円。馬名の由来はスペイン語で大歓声。

 【マイルCSアラカルト】

 ☆騎手&調教師 ルメールのJRA・G1勝利は今年5勝目で通算40勝目。藤沢和師は今年2勝目で現役最多の通算34勝目。このコンビで挙げたG1勝利は通算10勝目で、武豊&池江泰郎元調教師の12勝に次いで歴代2位。

 ☆関東馬 関東馬のマイルCSワンツーは15年ぶり3回目。今年のJRA・G1では7回目。

 ☆種牡馬 ディープインパクト産駒はマイルCS5勝目。JRA・G1勝利は秋華賞(アカイトリノムスメ)以来で今年7勝目、通算66勝目。

 ☆10億円突破 グランアレグリアの獲得賞金10億7381万3000円はメイショウサムソンを抜いて歴代13位。

 《ルメールはJRA通算1500勝》ルメールが阪神11Rをグランアレグリアで勝ち、7048戦目でJRA通算1500勝を達成。史上19人目、現役9人目。武豊の7875戦を上回り、史上最少騎乗回数での達成。

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