田中清師 フェブラリーSがG1昇格初年度から「ラッキー」連覇、思い出の一頭はホッカイルソー

2022年2月16日 05:30

厩舎で笑顔を浮かべる田中清師(撮影・西川祐介)

 今週末には「第39回フェブラリーS」が開催される。それまでG2として行われていた当レースが、JRAのダート戦としては初めてG1レースに昇格したのが1997年。第14回フェブラリーS時だ。その記念すべきレースを制したのが、田中清隆厩舎所属のシンコウウインディ。師にとっては初のG1制覇になった。さらに翌年も同厩舎のグルメフロンティアが制し連覇を達成した。

 当時を振り返って田中清師は「ラッキーという感じだったね。正直、G1という意識はなかった。へえ、G1になったんだ、くらいに思っていた。あの頃ダート馬は格下に見られていた。スピードがないからダートを使うという時代だったから。今みたいに強い関西馬もいなかったし、大手馬主の馬もあまり出ていなかったからね」と語った。

 千葉・銚子商卒業後は地元の信用金庫に入社。小柄であったことから、そこで上司に騎手になることを勧められて一念発起。71年野平省三厩舎で騎手候補生になり、全く異なる人生を歩み始めた。75年野平祐二厩舎所属で騎手デビュー。16年の騎手生活は1618戦140勝、重賞勝ちは76年ステイヤーズS(ホッカイノーブル)の1勝のみだった。

 90年に厩舎を開業。95年には33勝を挙げ、関東の優秀調教師賞を受賞。翌96年ホッカイルソーで日経賞を勝ち、重賞初勝利を挙げた。師が思い出の一頭に挙げるのはこの馬だ。「クラシック競走を初めて経験させてもらったし、騎手時代に唯一勝たせてもらった重賞と同じオーナーだしね」。ルソーは95年皐月賞4着、ダービー4着、菊花賞3着と3冠を皆勤。その後は01年にレディパステルでオークスを制覇、ファンの多かったホエールキャプチャで12年ヴィクトリアマイルを制した。

 3月からは弟子の嘉藤貴行師が厩舎を引き継ぐ。「最初は手探りだろうけど、焦らず一歩一歩やっていって、自分のカラーを出してほしい」とエールを送った。最後に50年以上に及ぶ競馬人生を振り返った師は「楽しかった」とつぶやいた。

 ◇田中 清隆(たなか・きよたか)1951年(昭26)12月16日生まれ、千葉県出身の70歳。騎手としてJRA通算1618戦140勝。90年騎手を引退し調教師に転身。96年3月ホッカイルソー(日経賞)で重賞初制覇。レディパステルで01年オークス、ホエールキャプチャで12年ヴィクトリアマイル制覇。JRA通算6454戦493勝。

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