【皐月賞】イクイノックスPerfect!抜群加速で出来完全、Wコース併走先着

2022年4月14日 05:30

併せて追い切るルメール騎乗のイクイノックス(左)(撮影・西川祐介)

 ついに、その全貌が明らかになる。3歳牡馬クラシック3冠の第1弾「第82回皐月賞」の追い切りが13日、美浦&栗東トレセンで行われた。キタサンブラックの初年度産駒イクイノックスはクリストフ・ルメール(42)を背にした美浦Wコースで鋭い伸びを披露。無敗3連勝で父が手にできなかったタイトルを目指す。出走馬と枠順は14日に確定する。

 黒い馬体からスラリと伸びた脚。品のあるたたずまいでイクイノックスが馬場から引き揚げてくる。背格好はもちろん、優等生な所作もG1・7勝の父キタサンブラックを思い起こさせる。ルメールは「(ブラックに)乗ったことはないけど凄く似ていますね。ずっとG1級だと思っている。勝つ自信、あります」。あふれる才能にトーンが上がる。

 美浦Wコースでインナリオ(4歳2勝クラス)との併せ馬。無類の操縦性を誇った父のように、道中は難なくクリアする。内へ入った直線。ルメールは手綱を持ったままでも瞬時に加速した。父よりひと回り小さい体が秘めるのはラスト1F11秒6の切れ味。僚馬を半馬身抜き去った。

 ルメールは2週連続で美浦に駆けつける熱の入れようだ。「先週は長い追い切りでスタミナを感じることができたけど、今日はいいスピードを見せてくれた。皐月賞はスタミナとスピードの2つが必要。両方いいものを持っています」。前走・東スポ杯2歳S(1着)は上がり3F32秒9の切れ味。驚異のスタミナで無双したキタサンブラック(皐月賞3着)よりも3歳春時点での切れ味は上か。

 昨年末の2歳G1、皐月賞のステップレースも使わない異例の中147日。そこに至った経緯について、木村師は「1歳初夏から、定期的に要所要所を観察してきた。立派な馬格をしていたが、背骨周りの筋肉が不足していた」と説明した。ダービーまで戦い抜くことを意識し、直行を馬主サイドに直訴。必要だった時間を経て、師は「肩周りは明らかにゴツくなった気がする」と成長を実感する。無敗3冠コントレイル(中112日)の最長間隔勝利記録を更新する態勢は整った。

 そのセンスをもってすれば、舞台適性について不安はなし。木村師は「操作性が高い馬だし、左右の手前で大きくパフォーマンスも変わらない」と自信をのぞかせる。偉大な父のリベンジマッチへ。厚いベールの下では、世代一の天才肌がひと回りたくましくなっていた。

 《無敗皐月賞制覇挑む》無敗の皐月賞馬は64年シンザン(皐月賞まで5戦5勝)、73年ハイセイコー(同8戦8勝=地方競馬時代含む)、グレード制を導入した84年のシンボリルドルフなど19頭いる。05年の3冠馬ディープインパクトを最後にしばらく無敗皐月賞馬は誕生していなかったが、19年サートゥルナーリア、20年コントレイル、21年エフフォーリアと直近3戦は無敗皐月賞馬が誕生。無敗馬が強い近年の流れに乗って、イクイノックスが史上20頭目の無敗皐月賞制覇に挑む。

 《苦戦続きの流れも》キャリア2戦以下の馬は過去(グレード制を導入した84年以降)、皐月賞に15頭出走している。勝ちはおろか2着以内入った馬もおらず、93年シクレノンシェリフの3着が最高で、データ的には苦戦している。

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